第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

パネルディスカッション

パネルディスカッション02(I-PD02)
小児肺高血圧に対する私たちの新しい取り組み(早期発見/治療、診断/鑑別、基礎研究、多職種連携など)

2021年7月9日(金) 13:30 〜 15:00 Track2 (Web開催会場)

座長:高月 晋一(東邦大学 医学部附属大森病院 第一小児科)
座長:石田 秀和(大阪大学医学部附属病院 小児科)

[I-PD02-2] 本邦における先天性心疾患を伴う肺高血圧症(CHD-PH)の多施設症例登録研究

石井 卓1, 内田 敬子2, 細川 奨1, 高月 晋一3, 石田 秀和4, 小垣 滋豊5, 稲井 慶6, 福島 裕之7, 山岸 敬幸8, 土井 庄三郎9 (1.東京医科歯科大学 医学部附属病院 小児科, 2.慶応義塾大学 保健管理センター, 3.東邦大学医療センター大森病院 小児科, 4.大阪大学大学院医学系研究科 小児科学, 5.大阪急性期総合医療センター 小児科, 6.東京女子医科大学 循環器小児・成人先天性心疾患診療科, 7.東京歯科大学市川総合病院 小児科, 8.慶應義塾大学 医学部小児科学, 9.国立病院機構災害医療センター)

キーワード:肺高血圧症, 先天性心疾患, レジストリ研究

【背景】先天性心疾患を伴う肺高血圧症(CHD-PH)の臨床像は、基礎心疾患の病態、手術・カテーテル治療の有無、残存・合併病変など極めて多彩で、原因別臨床分類では複数の群にまたいで分類される。右心バイパス術後を含む複雑先天性心疾患は、新たに肺高血圧の原因・病態として5群に分類された。このようなCHD-PHの全体像の解明には、臨床分類や疾患の枠を超えた独自の横断的アプローチが必要である。また、増加の一途をたどる成人先天性心疾患ACHDにおいても肺高血圧診療の標準化は重要な課題である。【目的】基礎疾患や内科的・外科的治療介入の詳細を含めた小児から成人を網羅するCHD-PH独自のレジストリを構築し、国内CHD-PHの診療実態を明らかにする。また集積したデータの解析により、CHD-PHの予後予測因子の解明、適切な治療ならびに管理方法の確立を目指す。【方法】CHD-PHの多施設共同症例登録研究をおこなう。対象は初期登録前後6ヶ月以内に手術・カテーテル治療予定のないCHD-PH症例で、Prevalent case、Incident caseいずれも含める。右心バイパス術後症例も肺血管抵抗係数>3を基準として登録する。登録後はイベント発生時または年1回のフォローアップ入力を行う。初期ならびにフォローアップ時の登録内容には、臨床症状やカテーテル検査結果に加えて、基礎心疾患の詳細、合併疾患、経過中の心臓手術・カテーテル治療などを含める。後方視的な解析によるCHD-PH診療現場の疫学調査とともに、前方視的な症例集積により予後予測因子や治療効果を検討する。【現在の進捗】各施設において研究プロトコールの倫理審査中である。登録システムは、既に症例登録が進んでいる国内の肺高血圧症レジストリ(JAPHR)と共通のプラットフォームを使用する形で完成している。今後、国内の主要心臓手術実施施設、ACHD診療施設の参加を拡充し、All Japan体制で症例を集積する。