[I-PD02-4] Assessment of RV-PA Coupling based on the EMPVR framework theory
Keywords:PH, EMPVR, 生理
背景】肺高血圧(PH)に対するTarget治療の導入により、肺血管抵抗(R)をより有効に改善できる症例が増えた。一方で治療によりRの低下が得られても、右心機能低下が進行する患者は予後不良な事が報告されている。これは、PHにおいては肺血管床と右心機能の適応状態、すなわち右室後負荷関係の評価が非常に重要なことを示唆する。とりわけ、右室の機能評価には負荷に依存しない収縮性の指標、後負荷の評価にはRのみならずCompliance(C)や特性抵抗といった拍動抵抗も含んだ指標での評価がより病態を正確に反映しうる。従来、収縮末期Elastance-動脈実効Elastance関係(Ees/Ea)は心室後負荷関係のGold Standardとして用いられてきたが、我々は平均駆出圧容積関係(EMPVR)という新しい概念に基づき、より優れた右室後負荷関係の評価を試みた。方法と結果】平均駆出圧(Pm)は心室仕事量(SW)を一回拍出量(SV)で除した値と定義し、新しい後負荷指標Ea’はPmをSVで除して求めた。新収縮性指標Ees’は負荷変化時のEMPVRの収縮末期点を結んだ直線の傾きで、理論式から前負荷動員SW関係の傾きをSVで除した値として定義算出した。Ea’は、SWを随時圧血流関係から求め数理変換すると1/T(R +A×Zn)と表すことができ血管Impedance(Zn)を直接表現する事が示された。実際に小児心疾患患者26名の心カテデータにおいてEaは特性抵抗を反映しなかったのに対し、Ea’はすべての拍動抵抗と有意な相関を示した。またPH患者31人におけるEa’はEaに比しCとよりよく相関した(r=0.92, p<0.001)。一方、Ees‘は低用量ドブタミンによる収縮性の変化をEesより鋭敏に捉える事ができた。さらに、Ees’は拡張末期容積で等容収縮をした場合の最大血圧を予測できたのに対しEesは予測不能であった。考察】EMPVRに基づく右心機能、肺血管床、右室後負荷関係の評価はPHの病態評価と治療効果の把握、そして予後の予測にも今後非常に重要な役割を演じると思われる。