The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Symposium

シンポジウム02(I-SY02)
ASに対する包括的治療戦略

Fri. Jul 9, 2021 4:50 PM - 6:20 PM Track2 (Web開催会場)

座長:笠原 真悟(岡山大学医歯薬学総合研究科 心臓血管外科)
座長:佐々木 孝(日本医科大学 心臓血管外科)

[I-SY02-4] Surgical strategy for aortic stenosis in children and young adults: Prosthetic valve replacement or Ross procedure?

安東 勇介, 中野 俊秀, 帯刀 英樹, 篠原 玄, 藤田 周平, 荒木 大, 西島 卓矢, 酒井 大樹, 角 秀秋 (福岡市立こども病院 心臓血管外科)

Keywords:小児大動脈弁狭窄, Ross手術, 人工弁置換

【背景・目的】小児および青年期の大動脈弁狭窄(AS)に対する弁形成の長期成績は不明で、根治手術としては人工弁置換(AVR)またはRoss手術が選択されることが多い。当院での両術式の成績を検証した。平均観察期間8.4年。【対象】1998-2020年にASに対してAVRまたはRossを行った68例。AVR群17例Ross群51例で、生存率、移植弁関連イベント、再手術について検証した。【結果】時代による両術式の比率に差はなく、Ross非選択の理由は肺動脈弁が使用不能6例、患者希望4例、大動脈基部拡大2例、その他5例であった。手術時年齢はAVR群が年長で(AVR群 vs Ross群;中央値13.5才 vs 9.1才)、AVR群では合併心疾患が多かった。先行バルーン拡張術(BVP)はRoss群で多かった(12% vs 47%)。手術においてはAVR群で弁輪拡大を多く必要とし(76% vs 45%)、使用した人工弁はSJM regent7例、SJM HP5例、On-X3例、Mosaic2例で、サイズは中央値19mm(17-25mm)であった。Ross手術は全例full root法で行い、右室流出路(RVOT)はePTFE製3弁付き導管で再建した。reduction aortoplastyを6例に、人工血管によるrappingを2例に併施した。早期死亡はRoss群で2例(いずれもBVP後の高度ARによりショックで来院)、遠隔死亡はなく、累積生存率に差異はなかった。遠隔期イベントはAVR群6例(脳梗塞、血栓弁各2例、pannusによるstuck valve、人工弁感染各1例)、Ross群2例(autograft機能不全2例)あり、再手術はAVR群4例、Ross群2例であった。15年の移植弁関連イベント回避率(70% vs 91%)、大動脈弁再手術回避率(60% vs 91%)ともにRoss群が良好であった。AVR群では低年齢が再手術の危険因子であったが、Ross群では年齢による差異はなかった。Ross群のRVOT再手術回避率は15年63%であった。【結語】Ross手術は高い再手術回避率、低いイベント発生率を示した。RVOT再介入の問題は残るが、低年齢児ではRoss手術を選択することが妥当と考えられた。