[I-SY02-5] 小児大動脈弁狭窄に対するRoss/Ross-Konno手術の治療成績と妥当性
キーワード:大動脈弁狭窄, Ross, 外科治療
【背景】小児期の大動脈弁狭窄(AS)に対しては弁形成術(AVP)、人工弁置換術(およびKonno弁輪拡大術)、そしてRoss/Ross-Konno手術が選択肢となるが何れが最適かについては未だ議論の余地がある。【目的】小児ASに対するRoss/Ross-Konno手術の治療成績を検討し、その妥当性を明らかにする。【方法】当院において1997年11月以降に行われたRoss/Ross-Konno手術、連続56例のうち手術時年齢が18歳以下で、単独大動脈弁閉鎖不全(AR)症例を除いた33例を対象として術後遠隔期の弁機能および再手術介入について検討した。対象の内訳は単独AS 15例、大動脈弁狭窄兼閉鎖不全(ASR)18例。手術時年齢は中央値10歳、手術時体重は中央値30kg。ASに対する先行治療は経皮的大動脈弁形成術(PTAV)12例、AVP 4例(交連切開術3例、弁尖再建術1例)。【結果】Konno法による弁輪拡大を併施したのは6例(18.2%)。手術時の平均大動脈遮断時間142.6±35.0分、平均体外循環時間270.9±67.9分。術後最長23.3年(中央値5.3年)の観察期間において在院死亡、遠隔死亡なし。AR進行のため外科的再介入となったものが2例(6.0%)認め、AVR 1例、Bentall手術1例で共にRoss術後19年目であった。遠隔期心エコーにおける大動脈弁口通過血流速度は平均0.89±0.43m/sでAS(>2.5m/s)例なし。ARはスコア化(0: none、1: trivial、2: mild、3: moderate、4: severe)にて評価し平均1.2±1.1であったが3以上の症例を3例(9.6%)認めた。またLVDdは平均43.8±7.0mm(平均Z score -1.3±1.6)と有意な左室拡大は認めなかった。【結論】Ross/Ross-Konno手術後遠隔期にAR増悪のため再介入を要する症例はあるものの、その回避率は低い。抗凝固不要や成長の可能性などを考慮すると小児ASに対してRoss/Ross-Konno手術は他術式と比較しても利点は大きく妥当な治療選択と考えられる。