The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Symposium

シンポジウム05(I-SY05)
小児心不全予後のsurrogate markerを考える

Fri. Jul 9, 2021 1:30 PM - 3:00 PM Track4 (Web開催会場)

座長:奥村 謙一(宇治徳洲会病院小児科)
座長:村上 智明(札幌徳洲会病院小児科)

[I-SY05-4] Time-dependent prognostic value of heart failure-associated biomarkers in Fontan patients

大内 秀雄, 白石 公, 坂口 平馬, 黒嵜 健一 (国立循環器病研究センター)

Keywords:心不全, フォンタン, 予後

【背景】これまでにフォンタン(F)術後患者の総死亡やF関連事故の予測因子の同定が試みられてきたが、個々のF関連病態に焦点を当てた予測因子の報告は少ない。【目的】F術後患者の総死亡を含めた心不全関連入院と心機能指標との関連を評価する。【方法と結果】対象は当院でF手術が施行され術後6か月以上経過し心血行動態が評価された連続445例である。F手術年齢は5.2歳、術後1年(n = 445)、5年(n = 355)、10年(n = 288)、15年(n = 225)、20年(n = 141)そして25年(n = 66)時の神経体液性因子(脳利尿ペプチド濃度:BNP、ノルエピネフリン濃度、レニン活性:PRA、アルドステロン濃度:PAC)と運動耐容能(PVO2)に加え、血行動態(中心静脈圧:CVP、心室拡張期末期圧:EDP、心室容積:EDVI、駆出率:EF、房室弁閉鎖不全:AVVR)、心係数:CI、動脈酸素飽和度:SaO2)と評価後5年間の心不全事故との関連をコックスハザードモデルで評価した。心不全事故は心不全症状悪化に加え蛋白漏出性胃腸症や鋳型肺炎の悪化を含めた。術後1年、5年、10年、15年、20年そして25年後の心不全事故は各々27(6%)、23(6%)、19(7%)、22(10%)、16(11%)及び12(18%)発症していた。高CVP、高EDP、低SaO2、高BNP、高PRA、高PAC、低PVO2はほぼ全経過を通じて心不全事故を予測し(p< 0.05 - 0.0001)、特にCVP、PRA、PACの予測力は強かった。一方、術後1年から5年の小児期では高EDVI、低EF、高AVVRは有意に心不全事故と関連したが(p < 0.01 - 0.0001)、術後10年以降では関連しなかった。【結論】成人F患者と異なり小児F患者ではAVVRを含めた心機能指標が心不全予後を予測し、外科介入や抗心不全療法の一助となる。また、全経過でのレニンアルドスレロン系(RAS)指標のF心不全事故との強い関連は、RAS指標のF心不全評価におけるバイオマーカーとしての重要性示唆する。