The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Symposium

シンポジウム06(I-SY06)
合併先天異常を有する心疾患患児の集中治療

Fri. Jul 9, 2021 3:10 PM - 4:40 PM Track4 (Web開催会場)

座長:長谷川 智巳(兵庫県立こども病院 小児集中治療科)
座長:和田 直樹(榊原記念病院 心臓外科)

[I-SY06-2] Background and course of patients with congenital heart disease requiring gastrointestinal surgery

鈴木 彩代, 佐川 浩一, 倉岡 彩子, 兒玉 祥彦, 中村 真, 石川 友一 (福岡市立こども病院循環器科)

Keywords:集中治療, 消化器手術, 先天奇形

【背景】先天性心疾患(CHD)には消化器疾患を高頻度に合併し、しばしば外科手術を要する。これらの手術適応やリスク評価の際には、消化器疾患の種類や重症度のみならず、循環動態やその他の合併奇形などの総合的な検討が必要である。【目的】小児外科手術を要したCHD患者の背景や臨床経過を明らかにする。【方法】対象は2016年1月から2020年12月に当院小児外科で手術を施行した1701件(重複あり)。うちCHD合併例を抽出。手術を、鼠径ヘルニア、鎖肛等「低侵襲手術」、食道閉鎖、消化管穿孔、食道裂孔ヘルニア等「高侵襲手術」に分け、患者背景や経過を検討。【結果】CHD合併例は70例、手術件数は105件。うち52例(74.3%)が二心室症例、18例(25.7%)が単心室症例。施行手術105件のうち「低侵襲手術」は43件(41%)、「高侵襲手術」は62件(59%)。低侵襲手術で3例、3件(7.0%)が予定外再手術を要し、周術期死亡(手術から30日以内の死亡)はなし。一方高侵襲手術で6例、9件(14.5%)の予定外再手術があり、3例の周術期死亡があった。高侵襲手術を施行したCHD非合併例との比較では、CHD合併例に周術期死亡が有意に多かった(4.8% vs 0.52%,p=0.0462)。統計学的な有意差はないものの、高侵襲手術を施行したCHD合併例での予定外再手術や周術期死亡は、単心室症例、大動脈病変を有する二心室症例が多い傾向にあった(予定外再手術6例、周術期死亡3例のうち単心室症例5例、大動脈病変を有する二心室症例4例)。【考察】高侵襲手術では周術期死亡はCHD合併の有無と関連があった。単心室患者や大動脈病変を有する患者に再手術や周術期死亡が多い傾向にあり、今後もCHDの種類や循環動態との関連についてのさらなる検証が望まれる。【結論】侵襲の高い小児外科手術では、CHDの合併がリスクとなるため、慎重な管理が必要である。