[I-SY06-4] Treatment experience for congenital heart disease with gastrointestinal complications requiring surgery
Keywords:消化器疾患, 多発奇形, 先天性心疾患外科治療
【はじめに】日本の先天性心疾患の治療成績は向上し、その救命率も非常に高い。しかし、現在でも手術を要するような多発奇形を有する患児の治療戦略に統一の見解はない。今回は、当施設において手術を要する消化器系疾患を合併する先天性心疾患患者の治療経験を調査し、文献的に考察を加えて報告する。【対象と方法】2009年10月1日から2020年12月31日までに先天性心疾患に対し手術を要した1311例のうち心臓手術前後で消化器系合併疾患に対して手術加療を要した32例を対象とした。症例の内訳は、2心室修復群は24例、1心室修復群は8例であった。手術時期と理由とその順番、予後について調査を行った。【結果】症例の疾患内訳は、2心室修復症例は、VSD7例、ファロー四徴7例、両大血管右室起始3例、完全型房室中隔欠損2例、その他5例であった。両大血管右室起始1例で根治手術待機中に突然死を起こした。1心室修復症例では、全例初回心臓手術は体肺動脈短絡手術であり、フォンタン待機中に房室弁逆流増悪で亡くなった1例を除いてフォンタン手術へ到達している。消化器疾患は、鎖肛14例、十二指腸閉鎖4例、食道閉鎖3例、ヒルシュスプラング病2例、腸閉塞・壊死3例、その他5例であった。消化器閉塞疾患に対する閉塞解除目的に、人工肛門作成もしくは胃瘻造設などは生後0-2日に施行されていた。消化管根治手術時期は、十二指腸以外は、心臓根治術後に体重増加を待ってから行われていた。【考察】心疾患、消化器疾患はそれぞれ優先される事項が異なった。つまり、心臓は循環維持が可能か、消化器疾患は閉塞病変の有無である。それぞれを解除している場合は、合併症を有さない症例と同じ手術適応時期で考慮して問題を生じなかった。【結語】現在、多発奇形を有する患児の治療戦略に対する統一見解はない。今回の調査では、個々の疾患の優先順位に沿って集学的治療を行えば、多発奇形合併症例であっても満足できる結果であった。