[I-YB03-1] 動脈管拡張末期血流速度は平均肺動脈圧を反映する
キーワード:動脈管開存, 連続ドプラ, 平均肺動脈圧
【背景】近年、Amplatzer Duct Occluder(ADO)の登場により比較的高肺血流の動脈管開存症(PDA)にも心臓カテーテル検査が行われている。ときに術前心エコーで最高短絡血流速度(Vpeak)に簡易ベルヌーイ式を用いて収縮期肺動脈圧を推定し肺高血圧(PH)ではないと予測するも平均肺動脈圧(mPAP)が20mmHgを超える症例に遭遇する。【目的】PDA血流波形の最低血流速度(Vend)がPHを予測しうるか検討する。【対象】2011年から2020年までにADOを行った67例中Vendが計測された48例。【方法】3名の超音波技師がフィリップス社製エコー装置iE33を用い連続ドプラでVendを計測した。乳幼児は鎮静し、全例安静時に計測した。ADO留置時に全身麻酔下で行った心臓カテーテル検査時にmPAPを計測した。VendとmPAPを一次回帰分析し相関係数を求めた。MPAP21mmHg以上をPH群とし、PHを予測しうる術前Vendを定め感度、特異度を求めた。検定にはカイ二乗検定を用いた。【結果】Vendと平均肺動脈圧に負の相関を認めた(R0.50, p<0.001)。平均肺動脈圧20mmHgより高い例を肺高血圧(PH)とすると、PH群は10例で、うちVend2.5m/s以下が7例であった。一方非PH群38例のうちVend2.5m/s以下は13例であった(カイ二乗値0.04)。Vend2.0m/s以下はPH群で10例中5例、非PH群で38例中5例であった(カイ二乗値0.01)。PH群の感度はVend2.5m/s以下が0.7、2.0m/s以下が0.5、特異度は2.5m/s以下で0.66、2.0m/s以下で0.87であった。【考察】術前PHの存在は術後管理に影響するため特異度より感度を優先すべきと考えられる。【結語】Vend2.5m/s以下の例はPHを疑う必要がある。