[II-PAL-1] 心房特異的Pitx2c過剰発現は、カルシウム動態の異常により上室不整脈を増加させる
キーワード:心房細動, Pitx2, 不整脈
【背景】我々は昨年本学会で、心房特異的なPitx2cの過剰発現が修正洞結節回復時間を延長させ、上室不整脈の増加の所見を認めたことを報告した。洞結節の異常は洞不全症候群として致命的な疾患であり、心房細動の合併もよく知られている。しかし、洞結節の機能低下を引き起こすPitx2cの異所性発現と心房細動発症の分子機序については不明な点が多く残されている。Pitx2cの発現は慢性心房細動患者で増加していることが知られている。このことは、心房におけるPitx2cの過剰発現が不整脈を誘発しやすくする働きがあることが示唆する。
【目的】右房への異所性Pitx2c過剰発現は上室不整脈を増加させる、という仮説を検証する。方法:昨年本学会で報告したように心房特異的に発現するサルコリピン遺伝子にCre遺伝子を発現させたマウスと、Pitx2c遺伝子を導入したマウスの2種類のマウスを交配させ、心房特異的にPitx2cが過剰発現したマウスを作成した。その後、作成したPitx2cflox/cre+マウス(過剰発現群: OE)とPitx2cflox-/cre-マウス(野生型群: WT)の左右軸の決定や心房細動に関連する遺伝子の発現と、単相性活動電位を調べた。
【結果】OE群ではWT群と比べ、mRNAの発現では左右軸に関係するTbx3, Shox2の低下と, 心房細動誘発に関連するイオンチャネル遺伝子であるScn5aの低下, Kcne1の上昇を認めた。特にOE群の右房においてはカルシウム動態に関連するCacna1c, Serca2の発現抑制を認めた。また、単相性活動電位の測定では、OE群の右房において活動電位持続時間の短縮が見られた。
【結論】心房特異的なPitx2cの過剰発現は、カルシウム動態の異常により心房細動を増加させた。本研究は、上室不整脈を抑制するためには、心房においてPitx2cの適切な発現抑制が必要であることを示唆する。
【目的】右房への異所性Pitx2c過剰発現は上室不整脈を増加させる、という仮説を検証する。方法:昨年本学会で報告したように心房特異的に発現するサルコリピン遺伝子にCre遺伝子を発現させたマウスと、Pitx2c遺伝子を導入したマウスの2種類のマウスを交配させ、心房特異的にPitx2cが過剰発現したマウスを作成した。その後、作成したPitx2cflox/cre+マウス(過剰発現群: OE)とPitx2cflox-/cre-マウス(野生型群: WT)の左右軸の決定や心房細動に関連する遺伝子の発現と、単相性活動電位を調べた。
【結果】OE群ではWT群と比べ、mRNAの発現では左右軸に関係するTbx3, Shox2の低下と, 心房細動誘発に関連するイオンチャネル遺伝子であるScn5aの低下, Kcne1の上昇を認めた。特にOE群の右房においてはカルシウム動態に関連するCacna1c, Serca2の発現抑制を認めた。また、単相性活動電位の測定では、OE群の右房において活動電位持続時間の短縮が見られた。
【結論】心房特異的なPitx2cの過剰発現は、カルシウム動態の異常により心房細動を増加させた。本研究は、上室不整脈を抑制するためには、心房においてPitx2cの適切な発現抑制が必要であることを示唆する。