[II-PAL-2] 心筋緻密化障害患者における血栓塞栓症の有病率とリスク因子の解明
キーワード:心筋緻密化障害, 血栓塞栓症, 心不全
【背景】心筋緻密化障害の症状として、心不全、不整脈、血栓塞栓症が挙げられるが、小児での血栓塞栓症の実態は明らかではない。
【目的】心筋緻密化障害患者の血栓塞栓症の有病率とリスク因子を明らかにすること。
【方法】2002年から 2017年までに発症した206 例の小児心筋緻密化障害患者を対象とした。塞栓症の有病率ならびに臨床情報、心電図・心エコーデータ、遺伝子変異の情報を収集し、血栓塞栓症のリスク因子について後方視的に検証した。
【結果】男性119名、女性86名で、発症年齢は中央値で3ヶ月(0~2歳)であり、5名で血栓塞栓症の合併が見られた。血栓塞栓症合併群と非合併群との2群間での比較では、心エコーにおける心尖部の非緻密層/緻密層比が異なるものの(7.5±2.0 vs 4.9±2.6, p=0.0272)、その他の臨床症状、心電図。心エコーデータ、遺伝子情報については有意差を認めなかった。血栓塞栓症のリスク因子としては、左室駆出率40%以下(オッズ比 9.5、95%信頼区間 1.1-204.1、p値 0.0407)、平均非緻密層/緻密層比 2.6以上(オッズ比 2.2×107、95%信頼区間 3.8-、p値 0.0022)が挙げられた。
【考察】これまでの心筋緻密化障害患者の血栓塞栓症のシステマティックレビューでは、成人では6.8%(95%信頼区間 5.2-8.3、p値 <0.001)、小児では3.3%(95%信頼区間 0.5-7.2、p値 0.212)であり、本研究では、血栓塞栓症はより低い有病率であった。
【結語】左室駆出率の低い症例や肉柱形成が著明な症例では、血栓塞栓症の予防のために抗凝固剤の投与が望ましいと思われた。
【目的】心筋緻密化障害患者の血栓塞栓症の有病率とリスク因子を明らかにすること。
【方法】2002年から 2017年までに発症した206 例の小児心筋緻密化障害患者を対象とした。塞栓症の有病率ならびに臨床情報、心電図・心エコーデータ、遺伝子変異の情報を収集し、血栓塞栓症のリスク因子について後方視的に検証した。
【結果】男性119名、女性86名で、発症年齢は中央値で3ヶ月(0~2歳)であり、5名で血栓塞栓症の合併が見られた。血栓塞栓症合併群と非合併群との2群間での比較では、心エコーにおける心尖部の非緻密層/緻密層比が異なるものの(7.5±2.0 vs 4.9±2.6, p=0.0272)、その他の臨床症状、心電図。心エコーデータ、遺伝子情報については有意差を認めなかった。血栓塞栓症のリスク因子としては、左室駆出率40%以下(オッズ比 9.5、95%信頼区間 1.1-204.1、p値 0.0407)、平均非緻密層/緻密層比 2.6以上(オッズ比 2.2×107、95%信頼区間 3.8-、p値 0.0022)が挙げられた。
【考察】これまでの心筋緻密化障害患者の血栓塞栓症のシステマティックレビューでは、成人では6.8%(95%信頼区間 5.2-8.3、p値 <0.001)、小児では3.3%(95%信頼区間 0.5-7.2、p値 0.212)であり、本研究では、血栓塞栓症はより低い有病率であった。
【結語】左室駆出率の低い症例や肉柱形成が著明な症例では、血栓塞栓症の予防のために抗凝固剤の投与が望ましいと思われた。