[II-PAL-3] Fenestration作成は予後を改善するか?当院におけるFontan手術の中長期成績と予後因子の検討
キーワード:フォンタン手術, フェネストレーション, 左心低形成症候群
背景:Fontan手術では合併症予防のため症例に応じた管理が重要である。当院では主に左心低形成症候群(HLHS)、Asplenia、平均肺動脈圧>15mmHgに該当する症例をハイリスク(H)群とし選択的にfenestrationを作成している。当院のFontan手術の中長期成績と、さらにH群とfenestration作成について検討した。方法:当院で1993年1月から2015年12月に施行した初回Fontan手術376例のうち細胞治療治験例を除外した344例を解析し、生存率、再介入回避率と危険因子、及び遠隔期合併症について検討した。結果:症例は左室型単心室176例、右室型単心室167例(うちHLHS47例、Aspleniaを伴う単心室45例)であった。術式は心房肺動脈吻合法15例、Lateral tunnel(LT)法109例、Extracardiac(EC)法219例で166例にfenestrationを作成した。10年、20年生存率は92.2%、86.9%で、HLHSが死亡の危険因子として示唆された(p=0.026)。10年、20年後の再介入回避率は60.9%、41.7%で体肺側副動脈コイル塞栓(16.9%)、バルーン肺動脈拡張(12.5%)、ペースメーカー埋込(6.4%)、EC conversion(6.4%)であった。再介入の危険因子はHLHS(p<0.001)、LT法(p=0.029)、大動脈遮断時間(p=0.037)、術後蛋白漏出性胃腸症(PLE)(p<0.001)が示唆された。次にH群155例と非ハイリスク(NH)群189例について検討を行った。H群はNH群に比べ20年生存率(H: 74.1 vs. NH: 91.3%, p=0.001)及び再介入回避率(H: 30.0 vs. NH: 43.0%, p=0.001)が有意に低かった。H群のうち97例にfenestrationを作成したが、非作成例に比べ生存率及び再手術回避率の改善はなく、20年のカテーテル治療回避率は有意に低かった(作成:40.8% vs. 非作成:70.5%, p=0.001)。PLEと鋳型肺炎の発生の改善も認めなかった。結語:当院における検討でハイリスク群は生存率、再介入回避率ともに非ハイリスク群より低くfenestration作成により改善は認めなかった。Fenestration作成の適応について再検討が必要である。