[II-PAL-4] Preclinical basic research for protective effect of left ventricular function in single VS multiple dose Del Nido cardioplegia in long-term ischemia
Keywords:Del Nido心筋保護液, 圧容積関係, ブタin vivo model
【目的】小児心臓外科において近年注目されている単回投与Del Nido (DN)心筋保護に関して、これまで我々は本法導入、適切な適用基準確立を目指してブタin vivo model による研究を施行し、安全許容時間、Modified solutionの安全性を明らかにしてきた。しかし一方臨床論文で推奨されている長時間虚血での複数回投与の有効性についてはエビデンスは明らかでない。今回一連の基礎研究より120分虚血DN単回投与と複数回投与の左室機能、血液生化学所見、組織学所見に及ぼす効果について比較検討した。【方法】21頭のブタを対象に非虚血人工心肺コントロール群(C群)、単回投与群(S群:20ml/kg)、複数回投与群(M群:60分後10ml/kg追加投与)の3群で左室機能(収縮末期弾性(EES)、拡張末期圧容量関係(EDPVR)回復率、心筋壊死(CK-MB、TropT)、電子顕微鏡所見を評価した。【結果】S群単回投与後の%EES57.9±17.8%、%EDPVR88.5±24.0%とControl122.6±35.8%、105.8±36.9%に比べ特に収縮性の有意の低下を示したが、これらは複数回投与M群においても%EESは61.7±31.1%、%EDPVR 83.7±20.2%と更なる改善を認めなかった。CK-MBはM群(107.6±20.7)でS群(48.9±24.2、P=0.007)に比べ有意に高値を示した。ミトコンドリアスコアは群間に有意差を認めなかったが、%Glycogen area、GlycogenサイズはS、M群ともにC群より有意に低く細胞内グリコーゲン枯渇が示唆された。【結論】DelNido心筋保護液の複数回投与は心機能の改善に寄与せず、むしろ心筋障害助長を招く可能性があり、120分虚血の条件ではあえて追加投与を推奨すべき結果は得られなかった。