[II-PD04-5] 未熟児・新生児における経皮的動脈管閉鎖術
キーワード:動脈管, 早産児, Piccolo occluder
新生児症例や未熟児動脈管開存症(PDA)でインドメタシン、イブプロフェンが無効な場合には外科治療を行うのが一般的であったが、外科治療には開胸が必要なこと、気胸、低体温、出血、横隔神経麻痺、創部感染、反回神経麻痺、側弯などの合併症が報告されており、この分野においてもより低侵襲なカテーテル治療への期待が大きい。2018年の日本胸部外科学会からの年次報告によると年間483例のPDA対して外科治療が行われ、そのうち305例は新生児例であった。一方で、同年の日本先天性心疾患インターベンション学会レジストリー(JCIC-Registry)の全国集計では、PDAのカテーテル治療は419例に施行されており、うち新生児例はわずかに1例のみであった。海外においては、新生児のPDAや未熟児PDAに対して血管閉鎖用のデバイスであるAMPLATZER Vascular Plug IIやAMPLATZER Piccolo Occluderなどの新規デバイスが用いられるようになり、静脈側からアプローチすることで低出生体重児の大腿動脈損傷を回避し、経胸壁エコーガイドでの治療を併用することで放射線被曝や造影剤使用が軽減され、ベットサイドでの治療も行われている。本邦においても、2020年にAMPLATZER Piccolo Occluderが保険適応となり、将来的に体重700g以上の低出生体重児の動脈管開存症が治療対象となるため、新生児、未熟児のPDA治療への大きな福音となることが期待される。本邦における未熟児・新生児における経皮的動脈管閉鎖術の現状と問題点に関して、児施設の経験を含めて概説を行いたい。