[II-SY08-1] Usefulness and Limitations of Three-Dimensional Cardiac Model in Pediatric Cardiac Surgery: Seven Years of Clinical Application
Keywords:立体心臓模型, シミュレーション, 心臓手術
【はじめに】当施設では2014年以降、造影CT画像データを基に3Dプリンターで造形したABS樹脂製実体模型を鋳型として、透明シリコーン製中空模型を作製、手術設計や患者家族への説明に臨床応用してきた。当院における心臓立体模型の使用実績を報告し、その有用性と問題点について検討する。【対象と方法】対象は17例。手術時月齢は1~149ヶ月(中央値26ヶ月)、手術時体重3.0~37.9kg(中央値10.2kg)。疾患はDORV 5例、TOF 2例、PAPVC合併複合心疾患 2例、AVSD+右胸心、ACSD+多脾症、Subaortic stenosis、TGA (III) 、large VSD、SRV、SV+両側PDA、Double aortic archが各1例であった。模型を用いたシミュレーションで術式を決定後、手術に臨んだ。【結果】模型作製の目的は心内構造評価6例、心内reroutingの可否判断5例、弁下構造評価2例、血管走行評価4例であった。 血管走行の評価を目的とした4例は実体模型のみを作製し、残り13例は実体模型と中空模型を作製した。実体模型は1日での作製も可能であり、手術3日前のCTデータから模型を作製して利用した症例もあった。全例模型に基づく手術設計と施行が可能で、特に稀な心内構造の把握に有用であった。DORV/PAの1例では模型で再現しえなかった異常筋束を原因とする遺残VSD短絡のため再手術を要した。また、CT撮影時の呼吸非同期や留置コイルのartifactなどに関わる画像データの質が模型の精度に影響していた。【考察と結論】立体心臓模型は手に取りあらゆる角度、任意の切開部から観察することができ、実物大で作製すれば心血管形態や位置関係の把握が容易で、手術設計もしやすい。血管走行評価に有用な実体模型は短時間で作製可能である。CT画像の質に依存する模型の精度や弁尖などの菲薄な組織の再現に限界はあるものの、立体心臓模型は複雑または稀な心血管疾患の手術設計に極めて有用であり、手術成績の向上、時間短縮に寄与する。