[II-SY08-2] 光干渉断層像(Optical Coherence Tomography:OCT)による画像描出・解像度の向上に関する検討
キーワード:Optical Coherence Tomography, 肺動脈, 3次元的画像
【背景】我々は肺動脈や冠状動脈における組織学的評価に光干渉断層像(OCT)を利用した重症度評価や予後・治療効果判定への応用を報告してきた。OCT画像から得られる血管病変をより詳細に観察する3次元的画像解析を含めて、OCT画像の描出能・空間分解能・解像度向上について検討し、詳細な観察を可能とするために工夫すべき点について考察した。【目的】OCT画像から得られた血管病変の組織学的異常を明瞭に描出する手法や技術について検証した。【方法】ILUMEN FD-OCT Imaging System (Abbott)を用いた肺動脈における画像観察について検討した。 【結果】大腿静脈から5Fr Envoy(Codman)を肺動脈に挿入する。Yコネを使用してプローブ(Dragonfly)を肺動脈末梢に挿入した後に、血液除去のために低分子デキストラン注入(5-6mL)を行う。OCT画像撮影の前には肺動脈造影もしくは造影CTで肺動脈の形態を予め確認し、観察する動脈枝を選択しておくことが有用である。描出が明瞭となりやすいため、通常は肺動脈分岐部から末梢までの距離が長い右肺動脈下葉枝を選択することが多い。様々な径の肺動脈を撮像したが、直径2.0-3.0mmの肺動脈が最も描出に適している。3D画像を構築するには、360°描出できるようにプローブにガイドワイヤを用いないことが望ましいが、そのためにPullbackのスピードの変化、揺れが生じて構築が難しい場合がある。3D画像構築は、描出画像がLongitudinal, Lateral, Axialの方向での空間分解能が異なるAnisotropic voxelでの描画となることに注意する。【結語】OCT画像撮像の手技は細かな注意点や工夫を要し、明瞭な画像の取得から3次元構築も可能である。血管リモデリングや病態の重症度評価、治療効果判定などの臨床的有用性に繋がると考えた。