[II-SY08-4] 非造影リンパ管MRIよるフォンタン手術ハイリスク症例の術前スクリーニング
キーワード:MR Lymphangiography, Fontan, Magnetic Resonance Imaging
【背景】Heavy T2強調像による非造影リンパ管MRI(MRL)は,造影MRLと比較してリンパ節穿刺が不要でより簡便に施行できる.同法は,近年,先天性心疾患術後のリンパ管障害のリスク評価への応用が試みられているが,臨床的意義は確立していない.【方法】フォンタン手術ハイリスク症例2例に対して,術前スクリーニングとして非造影MRLを施行.GE Healthcare Signa HDxt 1.5T,12ch body array coilを用い,Fast Recovery Fast Spin Echoで撮影した.【症例1】5歳,左心低形成症候群.左肺動脈へのステント留置が施行され,経過中に無名静脈が閉塞した.フォンタン術前に施行した非造影MRLでは椎骨の左側を走行し左静脈角に流入する胸管が描出され,左鎖骨上部にリンパの異常潅流を示すhigh intensityを認めた.無名静脈閉塞によるリンパうっ滞の可能性が示唆されたため,経皮的に無名静脈の血行再建を行った後に開窓フォンタン手術を施行,術後半年の時点でリンパ管合併症は認めていない.【症例2】14歳,肺動脈弁下心室中隔欠損を伴う両大血管右室起始,僧帽弁狭窄左肺低形成.3歳で肺動脈の順行性血流を残してグレン手術を行ったが,片肺状態のためフォンタン手術困難の判断で経過観察.低酸素血症の進行が著しく,開窓フォンタン手術の方針となった.非造影MRLでは椎骨をまたいで上行し,右静脈角に流入する胸管が描出され,鎖骨上部,縦郭にもリンパの異常潅流が認められた.現在,乳び胸に注意して術後経過観察中である.【結語】非造影MRLで,フォンタン術前患者の胸管は明瞭に描出でき,リンパの異常潅流も検出可能であった.同法は先天性心疾患関連のリンパ管障害への応用が期待される.