第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム09(II-SY09)
成人先天性心疾患の妊娠・出産における治療介入

2021年7月10日(土) 14:50 〜 16:20 Track3 (Web開催会場)

座長:赤木 禎治(岡山大学成人先天性心疾患センター)
座長:神谷 千津子(国立循環器病研究センター 産婦人科部)

[II-SY09-2] 徐脈性不整脈を合併した妊娠

島田 衣里子, 篠原 徳子, 西村 智美, 竹内 大二, 豊原 啓子, 稲井 慶 (東京女子医科大学 循環器小児・成人先天性心疾患科)

キーワード:成人先天性心疾患, 妊娠, 不整脈

【背景】 妊娠や出産による循環動態の変化がさまざまな循環器的合併症がおこすことはよく知られている。しかし、徐脈性不整脈を合併した妊娠の管理についてはまだ不明な点が多い。【目的】 徐脈性不整脈合併妊娠について妊娠経過や循環器的合併症について検討すること。【方法】 2006年1月から2020年12月までの間に当院で妊娠出産管理を行った心疾患合併妊娠の患者のうち、徐脈性不整脈を合併した患者について診療録を用いて後方視的に検討を行った。徐脈性不整脈としては、完全房室ブロック(先天性、後天性、基礎心疾患などに合併した2次性)、洞不全症候群と診断されていたものとした。【結果】 期間中に当院で管理された670妊娠のうち、徐脈性不整脈を合併していた妊娠は20名28妊娠(4%)であった。疾患は、完全房室ブロック13名(先天性2名、後天性5名、2次性6名)、洞不全症候群7名 (うち2次性4名)だった。児の平均在胎週数は37週、平均出生体重は2593gだった。28妊娠中11妊娠は妊娠前にペースメーカー植え込み術(経静脈心内膜8例、経胸壁心外膜3例)を施行されていた。7妊娠では妊娠中や産褥期にペースメーカーを必要としなかった。9妊娠は妊娠中もしくは出産前に一時的ペースメーカー植え込み術を必要とし、1妊娠は妊娠中に永久ペースメーカー植え込み術を行った。経過中に心不全などの心血管イベントは5妊娠にみられ、全例基礎心疾患がある症例だった。3名では妊娠回数とともに徐脈が進行していた。【結語】 徐脈性不整脈を伴う妊娠ではペースメーカーによるイベントはなく管理することはできていたが、特に基礎疾患がある症例では徐脈とともに心不全などの出現に注意が必要だった。徐脈性不整脈を合併する妊娠の頻度は多くはないが、どのような症例で介入が必要となるのかは今後も検討の余地があると考えられた。