The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Symposium

シンポジウム09(II-SY09)
成人先天性心疾患の妊娠・出産における治療介入

Sat. Jul 10, 2021 2:50 PM - 4:20 PM Track3 (Web開催会場)

座長:赤木 禎治(岡山大学成人先天性心疾患センター)
座長:神谷 千津子(国立循環器病研究センター 産婦人科部)

[II-SY09-4] Current Status and Issues of Pregnancy and Childbirth Complicated by Cardiac Diseases in Our Hospital: A Proposal from a Core Regional Hospital

星合 美奈子1, 内藤 敦2, 勝又 庸行2, 長谷部 洋平2, 須波 玲2, 内田 雄三2, 中島 雅人1, 梅谷 健1 (1.山梨県立中央病院 循環器病センター, 2.山梨県立中央病院 総合周産期母子医療センター)

Keywords:心疾患合併妊娠出産, 成人先天性心疾患, 移行期医療

【背景】当院では成人先天性心疾患を中心とした成人移行外来を4年前に開設した。当院は総合周産期母子医療センターを併設しており、心疾患合併妊産婦の管理は当外来の重要な役割である。【目的】当院における心疾患合併妊産婦管理の状況と、妊娠可能年齢にある心疾患症例の課題を明らかにすること。【対象】2017年4月から2020年12月までに当外来を受診した18歳以上の女性。【方法】対象期間内の妊産婦管理の状況と初診時経産婦および2020年12月時点の未産婦について、日本循環器学会ガイドライン2018に拠るmodified WHOクラスおよび各リスクスコアと妊娠出産時の合併症を後方視的に評価した。【結果】対象は計43例、期間内の妊産婦管理は計7例8回(クラスII 5、II~III 3)実施した。合併症は母体4、胎児1、新生児1例ありクラスII~IIIの母体では全例でみられたが、母体全例が生存し生産児を得た。初診時経産婦は10例で出産歴16回(クラスII 4、II~III 8、III 4)、心不全、不整脈、高血圧、大動脈解離、脳梗塞の母体合併症既往があり、modified WHOクラスより各リスクスコア高値が関連している傾向があった。うち9回は循環器内科医の管理を受けておらず、7例は産後に受診を中断し症状出現が再受診の契機であった。現在40歳以下の未産婦は25例、うち自立不能7例を除く18例はクラスI 5、II 2、II~III 9、III 2例で全例に挙児希望があった。【考察】当外来開設以前は心疾患合併妊産婦管理は集約化されておらず、思春期以降の本人への情報提供やカウンセリングがないまま妊娠に至っている症例がほとんどであった。患者、家族および医療者ともリスクや継続フォローの重要性をあまり認知しておらず、合併症や次の妊娠、産後の状態悪化への対応の遅れが散見された。今後、心疾患合併妊娠・出産は地方でも急速な症例増加が見込まれる。統一指標での症例登録制度などにより、地域差なく情報が広く入手できる体制整備が望まれる。