[III-PD06-1] Hemodynamics after Fontan surgery causes metabolic and endocrine disorder
Keywords:Fontan循環, 心不全, 栄養障害
【背景】中心静脈圧(CVP)上昇と低心拍出(CI)というFontan心不全循環特性は、心不全ストレス反応とともに、全身の臓器障害、機能障害をもたらし、それがまたFontan心不全循環を増悪させるという負のスパイラルを呈する。今回、これまであまり注目されていない、Fontan循環における甲状腺機能低下、成長ホルモン分泌不全性(GHD)低身長,夜尿症、脳循環異常、ビタミンB1欠乏,低骨格筋量を伴うサルコペニア(Sarco)の発症に関し我々の知見を報告する。【方法と結果】Fontan術後検査を行った6歳~27歳の計58名の患者で,血液検査,心血管エコー、心カテ、心臓MRI,生体電気Impedance分析,CPXのデータ解析を行った。1. 33%の患者にsubclinical hypothyroidismを認め、TSH上昇はCVPと有意な正の相関を示した。subclinical hypothyroidism群ではfT3が有意に低く、低fT3は心室弛緩異常、低CIと有意に関連していた。2. 低身長は29.6%に認められ、うち8.2%がGHDと診断され、一般有病率に比し約1000倍高かった。低身長群でCVPは有意に高く、GHD群でその傾向が強く見られた。3. 夜尿症の頻度(29.4%)も一般的な罹病率(10%)を大きく上回り、発達障害との関連を認め、自然緩解率、年齢も遅延していた。4. 低CIを下半身の血管抵抗上昇で、高CVPを脳血管抵抗低下で代償する脳循環維持機転が働いていたが、脳循環順行脈波は低下し、反射波の増大を認めた。脳循環予備能は少なく、その低下は発達障害との関連が示唆された。5. ビタミンB1欠乏を22%に認め,いずれも女性であり、CIが低い傾向にあった。6. 骨格筋指数が標準を下回る割合は67%であり,うち40%は握力低下を伴いSarcoの診断基準を満たした.Sarco群の運動耐容能は健常人の41-69%で非Sarco群より低値であった. 【考察】Fontan循環は多臓器にわたり障害をもたらし、Fontan循環自体や生活の質の悪化をもたらす。全身の網羅的継続的機能評価と早期介入方法論の検討が必要である。