[III-PD07-1] Impact of the Basic Laws on Measures for Cardiovascular Diseases and for Child and Maternal Health and Child Development on the school heart screening
学校心臓検診は、その始まりからは60年以上の歴史があるとされる。学校保健法施行規則の改定により、1995年から現在の小中高校1年生全員に心電図を含む心臓検診が開始された。その後のガイドラインの整備の後に、2016年の学校心臓検診のガイドライン(日本循環器学会、日本小児循環器学会合同)が整備された。現在の学校心臓検診の目的は、小児心疾患の早期発見と管理指導、心臓性突然死の予防が挙げられ、QT延長症候群、心筋疾患、肺動脈性肺高血圧等の個々の疾患について、その有用性が報告されてきた。しかし、本邦において心電図の判読の標準化、均てん化が課題とされる。海外でもその若年アスリートの心臓性突然死の予防効果が注目はされているが、人的リソース、費用対効果の課題も指摘されてきた。2018年12月に、脳卒中・循環器病対策基本法、成育基本法が成立し、2019年12月に施行、2020年10月と2021年2月にそれぞれの基本計画、基本的な方針が発表された。2021年3月に脳卒中と循環器病克服第二次5カ年計画が発表された。それらの中で、学校検診による先天性心疾患、心臓性突然死を来す疾患(心筋症、不整脈)などの小児循環器疾患の早期発見と管理に加えて、成人病予防、家族性高コレステロール血症の管理が明記された。義務教育の段階からの生活習慣病管理、蘇生教育などの普及啓発が重要とされた。さらに成人病リスク、小児心疾患の成人へのスムーズな移行による管理が強調された。さらに、研究領域では、学校検診データのデータベース化と縦断的リンケージ、深層学習の応用について言及された。今後、生活習慣管理など0次予防、早期のリスク管理など一次予防、早期治療など2次予防、再発防止、後遺症治療の3次予防、その次の蘇生対策など、検診、学校教育、成人移行とデータ研究が重要な課題と思われる。新しい基本計画から、現在の課題を模索したい。