The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Panel Discussion

Panel Discussion07(III-PD07)

Sun. Jul 11, 2021 1:40 PM - 3:10 PM Track6 (現地会場)

座長:太田 邦雄(金沢大学附属病院 小児科)
座長:三谷 義英(三重大学医学部 小児科)
ディスカッサント:岩本 眞理(済生会横浜市東部病院 こどもセンター)
ディスカッサント:鮎沢 衛(日本大学医学部 小児科)

[III-PD07-4] Present status and future prospects of screening examinations for preventing lifestyle-related disease in children.

宮崎 あゆみ1, 小栗 絢子2, 市村 昇悦3, 五十嵐 登4, 村上 美也子5, 青木 真智子6 (1.JCHO高岡ふしき病院 小児科, 2.小栗小児科医院, 3.しむら小児科クリニック, 4.富山県立中央病院 小児科, 5.むらかみ小児科アレルギークリニック, 6.青木内科循環器科小児科クリニック)

Keywords:小児生活習慣病予防健診, ユニバーサルスクリーニング, パーソナルヘルスレコード

【背景、目的】高度経済成長期の肥満児急増を危惧して各地で始まった小児生活習慣病予防健診は、昨今の肥満児割合低下傾向に一定の役割を果たしているとともに、各種疾患の早期スクリーニングの機会ともなるため、現状を把握した上で全国一律実施への展望を考察する。【方法】高岡市小児生活習慣病予防健診のデータ解析によりその効用を検証し、2019年に全国815郡市区医師会を対象に行った健診実態調査結果を踏まえ、健診の意義や全国実施へ向けての課題を検討した。【結果】2019年度の高岡市健診受診者は小4、中1の2,369名(91.6%)であり、167名(7.0%)が精査対象となった。うち104名(62.3%)が二次検診を受診し、小児メタボリックシンドローム11名、予備軍27名、家族性高コレステロール血症(FH)4名等が介入、治療対象となった。当健診では、2006年以降10年間は肥満児、高コレステロール児割合の低下傾向が認められていたが、近年は全国同様に肥満児割合が増加傾向に転じており、コロナ禍でさらなる増悪がみられている。全国の健診実態調査では、回答のあった492医師会のうち127医師会(24.8%)の地元で健診が行われており、その多くが市区町村主催であった。健診対象は特定学年ほぼ全員が5割、肥満児のみが2割であった。実施項目や抽出基準は多岐にわたっていた。【考察】小児生活習慣病予防健診では肥満児等への介入効果に加え、FH等のユニバーサルスクリーニング効果が認められた。後者のスクリーニングは欧米数カ国ではすでに小児に推奨、一部実施されている。全国調査では健診実施率は未だ低く形式も様々であり、全国一律実施のためには、今ある情報を共有した上で健診のあり方へのコンセンサスを築くことから始める必要がある。今般成立した成育基本法、循環器疾患対策基本法の理念を礎に全国での健診が実現し、小児期から成人期への切れ目ないパーソナルヘルスレコードが構築されるようになることを期待したい。