[III-SP-3] 小児期、若年期の循環器病対策における日本循環器学会の取り組み
キーワード:循環器病対策推進基本計画, 脳卒中・循環器病対策基本法, 成人先天性心疾患
「脳卒中・循環器病対策基本法」が2018年に成立し、「循環器病対策推進基本計画(基本計画)」が、2020年に閣議決定された。これらの一連の変革は、我が国における循環器病の今後の診療体制を大きく変えることとなる。今後は、都道府県を中心に、「都道府県循環器病対策推進計画(都道府県計画)」の策定、実施を進めることになる。基本法や基本計画と並行し、日本循環器学会は日本脳卒中学会や関連学会と共同で「脳卒中・循環器病克服5カ年計画」を策定し、活動している。今回の基本計画には、生活習慣や社会環境の改善を通じて生活習慣病の予防を推進すると同時に、学校における教育を含めた子供の頃からの循環器病に関する知識の普及啓発を推進することが記載されている。小児期から将来の循環器病に関する知識の普及・啓発を通じて、将来の循環器予防につながると期待される。また、基本計画には、保健、医療及び福祉に係るサービスの提供体制の充実を目標に、幅広い内容が記載されている。特に、先天性心疾患や家族性高コレステロール血症などの小児期・若年期から配慮が必要な循環器病への対策などは、小児循環器領域やACHDを含めた移行医療と関係しており、総合的な医療体制の整備が必要である。現在、基本計画に基づき、各都道府県単位の循環器病対策推進計画の策定実施が始まったところであるが、各地域の実情に合わせて現実に即した具体的なものにしていかなければならない。本セッションでは移行医療を含めた日本循環器学会の取り組みについて紹介し、今後の対策について議論したい。