第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

学会特別企画

学会特別企画(III-SP)
脳卒中循環器病対策基本法後の移行医療支援:成育基本法、難病対策との関連も含めて

2021年7月11日(日) 10:40 〜 12:10 Track1 (現地会場)

座長:坂本 喜三郎(日本小児循環器学会 理事長)
座長:白石 公(第57回学術集会会長)
討論者:赤木 禎治(日本成人先天性心疾患学会 代表理事)

[III-SP-4] 【招請講演】

自見 はなこ (代議士)

 わが国の死亡原因の上位を占める脳卒中や心筋梗塞等の循環器病の対策強化は大きな政策課題であり、とりわけ、小児の循環器病対策は、胎児期にはじまり新生児期、乳幼児期、思春期を経て成人後まで、長期に亘ってそれぞれの発達段階に応じた対応が求められる重要な分野である。
 演者が超党派議員連盟事務局長として議員立法に取り組み、2018年12月に成立した成育基本法に基づいて、本年2月に閣議決定された基本方針においても、「小児期から成人期にかけて必要な医療を切れ目なく行うことができる移行期医療の支援等、小児慢性特定疾病を抱える児童等の健全な育成に係る施策を総合的に推進する」と明記されている。
 また、成育基本法と同じ2018年12月、脳卒中・循環器病対策基本法が議員立法で成立し、2019年12月に施行された。基本法は、循環器病患者に対する迅速かつ適切な医療体制、良質なリハビリテーションが継続的かつ総合的に行われること等を基本理念に掲げ、国は基本理念にのっとり基本計画を策定することと規定されている。
 基本計画の内容が充実したものとなるよう、議員立法後も超党派でフォローしていくため、2020年1月に「超党派 脳卒中・循環器病対策フォローアップ議員連盟」を設立し、私は事務局長を拝命した。
 2020年10月27日に閣議決定された基本計画は、「循環器病の予防や正しい知識の普及啓発」、「保健、医療および福祉に係るサービスの提供体制の充実」、「循環器病の研究推進」を柱に据えており、移行期医療の体制整備についても明記されている。また、各都道府県においても協議会が立ち上がり、基本計画に基づいた都道府県ごとの循環器病対策推進計画が策定され、2023年度までを目安とする実行期間に具体的な施策が実施される。本講演では、基本計画策定までの超党派議連による活動を解説しつつ、小児生活習慣病予防健診により家族性高コレステロール血症(FH)の子どもと家族の命を守ることができる「リバースカスケードスクリーニング」など、成育基本法ともリンクした政策展開についても紹介する。
 あわせて、現在取り組んでいる「こども庁」創設に向けた活動についても解説したい。