The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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多領域パネルディスカッション

多領域パネルディスカッション(III-TRP)
移植へ繋げる重症心不全の機械的循環補助(mechanical circulatory support: MCS)のリレー -初動施設から移植実施施設への連携-

Sun. Jul 11, 2021 1:40 PM - 3:10 PM Track3 (Web開催会場)

座長:上野 高義(大阪大学 心臓血管外科)
座長:加藤 篤志(東京女子医科大学病院 臨床工学部)

[III-TRP-1] Thoughts as a parent with a child with serve heart failure

小田 祐美

Keywords:患者家族, MCS, 移植待機

娘は、現在4歳で2020年5月からBerlin Heart EXCORを装着し移植実施施設(移植施設)で待機している。私は数年前まで臨床工学技士として勤めていた。2020年4月に東京の自宅近くで娘は倒れた。近医で心臓の動きが悪いと告げられた為、対応可能な都内の施設ですぐにECMO装着となった。最初は急性心筋炎の可能性が高く、冠動脈の異常も判明していたが、それが原因か分からないうちに回復が見られたのでECMOを離脱した。しかし3日後、心停止しECMO再導入となった。その後、左冠動脈起始異常による虚血性心筋症という確定診断を受け手術をしたが、急な回復は見込めず、長期的な心臓補助(MCS)の必要性と移植の話しを受けた。確定診断が出て、その後の道が示された時は、複雑な思いではあったが発症後初めて安堵した瞬間であった。その時点では長期MCSの行える施設は関東にあったが、補助人工心臓の空がなく、自宅から遠い移植施設に、ECMO導入から3週目、陸路を10時間以上かけて転院する事になった。それまで受けてきた説明は、非現実的な事ばかりであり、3回目の転院の決断も容易では無かったが、短期間で決断し得たのは、娘の将来を真剣に考えて説明の場が何度も設けられ、家族の意思を尊重しながら丁寧に進められた事で医療者の本気が見えたからだと思う。たとえ遠くても国内に人工補助心臓の空きがあり移植まで繋げてくれる施設があって良かったと、心底思った。付添の生活は当初、娘が驚くほど元気になった事が嬉しく、不慣れな生活も苦とは思わなかったが、長期化、制限ある付添は精神的、肉体的に困窮してくる。先の見えない不安や児の体調に一喜一憂しながらも医療者、非営利団体、そして同じ付添の方の存在に支えられている。私達のような小児心移植までの一経過をより多くの人に知って頂き、本治療が更に良いものへ進展することを願うばかりである。