[III-TRP-3] 東海地方の小児心移植医療の問題点
キーワード:小児心移植, 東海地方, 4次医療施設
【背景】本邦では小児の心移植待機が可能な施設は11施設、心移植が行える施設は5施設存在する。しかし東海地方に心移植施設はなく、当センターでは心移植を要する児に対し体外循環下に施設間搬送を行ってきた。【目的・方法】体外循環を要した心筋炎、心筋症24症例のうち、体外循環の離脱が困難で心移植施設へ施設間搬送を行った3例を検討し問題点を考える。【結果】患者は女児2例、男児1例、年齢10か月、体重10kg。診断はいずれも拡張型心筋症であった。ICU滞在日数は6日であるが、1例は100日と長く、EXCORの空きがなく転院先がなく、EXCORカニューレを用い遠心ポンプによる左心補助循環を導入し65日後に転院した。VA-ECMO下の搬送が2例、上記遠心ポンプ症例が1例。搬送の合併症は体温低下1例のみ。搬送先は大阪2例、東京1例。搬送距離は167km。【考察】小児の心移植医療は、救急集中治療、搬送医療、心移植待機、心移植及び移植後合併症に対して様々な専門的医療を必要とし、北米ではこれらの機能を有する四次医療施設への集約化で患者転帰の改善が示されている。一方で、本邦ではこのような四次医療施設は限られており、東海地方には存在しない。当センターPICUは緊急ECMOの導入ができ、ECMO搬送の経験も多く、包括的に小児集中治療が可能な施設であるが、現時点では移植施設ではない。北米ではこのようなPICUを擁する小児病院は大学病院の付属施設として存在し隣接する成人施設と連携しながら心臓を含む移植医療を行っているが、本邦では小児病院は大学病院とは独立した施設である事が多く、成人の移植医療の中心を担っている大学病院と連携がしづらい構造となっている。当地方にも小児心移植の四次医療施設が必要と考えるが、この構造の変革が行われ大学病院と当センターPICUが連携する必要がある。【結語】東海地方の小児心移植医療の整備として当センターと移植医療の中心を担う大学病院との連携が必要である。