[III-TRP-4] The problem of bridging to heart transplantation on cardiomyopathy
Keywords:心筋症, 心不全, 移植医療
【背景】小児心筋症は心不全症状を呈し、その予後は症例により様々である。我々の施設では埼玉県の3次医療施設として集中治療を要する心筋症を経験し、そのうち内科治療への反応に乏しく、心臓移植施設への転院を要する症例を経験してきた。【目的】心筋症の移植適応を含め、転院の決定に至るまでの経過や問題点を考察する。【方法】2017年3月から2020年3月の3年間に当院小児集中治療室で経験した心筋症全11例のうち、移植目的で転院となった5例について診療録を用い後方視的に検討した。【結果】5例(男3例、女2例、年齢4ヶ月-2歳、中央値7ヶ月)が転院となった。入院から転院までは53-210日後(中央値112日)であった。心臓移植の適応の判断は、5例中2例は循環作動薬からの離脱困難、3例は長期管理中の心不全の再増悪であった。転院後の転帰は、海外での心臓移植が1例、補助循環(VAD)導入後国内での心臓移植に至った例が1例、VAD導入後離脱可能となったものが2例、心臓移植施設での内科治療継続が1例であった。VADを離脱した1例は、当院で膜型人工肺(ECMO)を導入後に転院しVADを継続したが、経過中に広範な脳梗塞を認めた。【考察】心筋症の予後は、内科治療のみで改善する症例から、急激な心機能増悪によりECMO導入下に搬送を要するような症例まで様々であった。移植適応と考えられるものは早期に搬送を行う必要があり、心臓移植施設との連携が必要と考えられるが、その適切な時期を判断することは難しい。また、心臓移植を要さずVAD導入後心機能が改善している症例を認めることから、心臓移植施設のみならずVAD導入可能な施設も含め施設間の連携が必要であると考えられる。【結論】小児心筋症において、心臓移植の必要性を早期に見極め、施設間の連携を取り、その適切な時期を決定することは、患児の予後改善のために重要である。