[III-TRS01-2] 先天性心疾患児の計画外入院に関する実態調査
キーワード:先天性心疾患児, 計画外入院, 実態
【背景】在宅療法を含めた治療技術の向上により先天性心疾患(CHD)児は自宅で過ごす機会が増えている。しかし、在宅養育中のCHD児はしばしば計画外の入院を必要とし、この計画外入院の実態を明らかにすることは、症状の増悪を未然に防ぎ入院期間全体の短縮に寄与できる可能性がある。【目的】CHD児において計画外入院を要した症例数や年齢、その原因など実態を明らかにする。【対象と方法】A病院で2015~2019年の間に入院歴のある18歳以下のCHD児を対象とし後方視的に検討した。【結果】入院を必要としたCHD児は2,289例であり、その中で、計画外入院を要した症例は837例36.6%であった。年齢の中央値は1(0-4)歳であり、乳児が最も多く、316例37.8%であった。入院時の体重は8.4(3.8-12.1)kg、症例毎に標準体重と比べ-1.0(-2.0-0.0)SDであった。主病名は心室中隔欠損症167例20.0%、両大血管右室起始症158例18.9%の順に多かった。染色体異常を合併している症例は275例32.9%であった。計画外入院の主な原因は気管支炎151例18.0%、肺炎75例9.0%などの呼吸器合併症であった。入院日数は10(6-21)日、入院時のBNP60.9(22.6-382.5)pg/ml、WBC11.2(8.1-15.4)×103ul、CRP0.93(0.04-3.79)mg/dl、TP6.8(6.1-7.3)mg/dl、ALB4.0(3.6-4.3)mg/dlであった。在宅における医療的ケアの状況は酸素療法403例48.1%、経管栄養法199例23.8%、人工呼吸器療法77例9.2%であった。【考察】計画外入院を要したCHD児は乳児が多く、主な原因が呼吸器合併症であり、医療的ケアの状況から、CHDに伴う肺血流増加・減少といった肺循環の障害に加え呼吸循環の未発達さや脆弱性による影響が出やすいと考えられた。さらに疾患別の特徴や在宅の生活を明らかにし、計画外入院を未然に防ぐ循環呼吸ケアや合併症、成長発達に関する支援を検討していく。【結論】入院を必要としたCHD児の36.6%で計画外入院を要し、その主な原因は呼吸器合併症であった。