[III-TRS02-1] 【基調講演】先天性心疾患患児の成人移行支援:看護管理者の役割と多職種連携
キーワード:先天性心疾患, 成人移行支援, 多職種協働
成人への移行(transition)とは、小児中心型医療から成人中心型医療への診療科の転科(transfer)を含む一連の過程を示すものである。先天性心疾患患児の移行支援では、疾患とともに生活していくための自己管理ができるよう、症状コントロールや服薬管理、学校生活や職業選択など様々な側面を配慮した教育的関わりが重要となる。また、発達段階に応じた個別の関わりや、多職種による早期からの段階的支援の必要性も言われている。当院では、2014年から医師、看護師、薬剤師、MSWなどの多職種で、先天性心疾患患児の移行支援に関する話し合いを開始し、2015年より、支援外来(たけのこ外来)を開設した。これまで、患児を対象として“自分の病気の認識”に関する調査を行い、医療者、患児用のチェックリスト、準備段階に視聴するセルフケアに関連したDVD、移行支援クリニカルパスなどを作成してきた。現在、外来では、重症度、年齢や発達に応じて、支援プログラムを段階的に提供している。これらは、現場スタッフの移行支援に対する理解と専門的スキル、熱意が基盤にあり、試行錯誤しながら行われてきた。このような機能を、その質を担保しながら継続していくためには、管理的なサポートが重要と考えるが、課題も多くある。その一つは、移行支援に関わる人材の育成と確保である。また、現在の支援を評価し、早期から多職種で関わるための見直しも必要である。さらに、病棟と外来などの部署間、医師や看護職だけではないその他の職種間、移行先などとの施設間で“協働”していくことについての課題が大きい。このような支援の実際を踏まえ、本シンポジウムでは、先天性心疾患患児の成人移行支援について、看護管理者として何ができるのか、多職種で連携・協働するために必要なことは何か、改めて考えてみたい。