The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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多領域シンポジウム

多領域シンポジウム02(III-TRS02)
移行支援における各専門職の役割

Sun. Jul 11, 2021 1:40 PM - 3:10 PM Track2 (Web開催会場)

座長:森貞 敦子(倉敷中央病院 看護部)
座長:中矢代 真美(沖縄県病院事業局)

[III-TRS02-3] Commitment of dietitian to transition support

田中 紀子1, 小野 晋2, 高増 哲也3 (1.神奈川県立こども医療センター 医療技術部 栄養管理科, 2.神奈川県立こども医療センター 循環器内科, 3.神奈川県立こども医療センター アレルギー科)

Keywords:栄養療法, 移行支援, 情報共有

先天性心疾患は、心血管系の発生過程において構造異常が生じ、出生後の血行動態が異常となる疾患群であり、発生頻度は全出生の約1%である。心不全やチアノーゼなどの症状をきたしやすいが、特に心不全では必要エネルギーが増大する一方で水分制限が必要とされ、経口摂取が困難となること、静脈うっ滞による腸管粘膜の浮腫により吸収障害をきたし、栄養不良となりやすく、専門的な栄養療法を必要とする分野である。
これらの課題に対応するため、私たちは循環器栄養プロジェクトチーム(循環器NPT)を2014年6月に発足させ、循環器専門医をリーダーに、栄養専門医、管理栄養士、薬剤師、看護師のメンバーで毎週回診を行い、個々の病態に合わせた栄養量・内容を提案している。
また、2019年4月より、緩和ケアチームに管理栄養士がメンバーに加わった。疼痛緩和等で主治医から依頼があった場合には管理栄養士が栄養に関わる指導を行っている。
成人移行期(思春期)で栄養療法が必要な場合として、Fontan術後5-13%で発症する蛋白漏出性胃腸症(PLE)が挙げられる。その病態は摂取栄養量・内容が原因ではないが、教科書的には高たんぱく・低脂肪食が勧められている。しかし実際には治療自体に難渋することが多く、栄養面も含めた長期的な介入が必要である。
生活の大事な一部である毎日の食事をどう進めていけばよいのか、その答えを見つけるためには、本人と家族が栄養療法の必要性を十分理解した上で意思決定するプロセスが不可欠であり、管理栄養士の専門的なアドバイスが有用である。また医師、看護師、関係職種との情報共有も必要である。移行支援は、年齢や発達に合わせて栄養への理解や自立の支援に十分に時間をかける必要があるため、入院中のみならず、退院後の外来受診時の栄養相談で定期的に確認し、継続困難な場合には関係職種と情報共有や支援内容の調整を必要とする。