第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

会長要望セッション

会長要望セッション06 パネルディスカッション(III-YB06)
小児医療機器デバイスラグの解決に向けて

2021年7月11日(日) 13:40 〜 15:10 Track1 (現地会場)

座長:安河内 聰(慈泉会相澤病院)
座長:山岸 正明(京都府立医科大学 小児疾患研究施設 小児心臓血管外科)

[III-YB06-4] バルーン心房中隔裂開術(BAS)用バルーンカテーテル「Z-5カテーテル」の迅速審査における承認申請の経験

田中 隆之 (株式会社トライテック)

キーワード:BAS, Z-5, NuMED

バルーン心房中隔裂開術(BAS)用バルーンカテーテルの製造販売メーカーは3社存在したが、内2社が不具合等の理由により全世界で製造を中止した。世界市場において本品NuMED社製『Z-5カテーテル』が唯一の市販製品となり、当学会等の要望を受け上市する運びとなる。本品は1996年に米国510(k)にて販売をスタートしEU市場を含め25年間で約15,000本を販売している。2社の既承認品は不具合が理由で製品を自主回収したため、国内市場におけるBAS用カテーテルは一気に枯渇し臨床現場は緊急時の対応に焦燥した。厚生労働省医療機器審査管理課長より承認審査の迅速処理の通知が発出され、審査側である医薬品医療機器総合機構(PMDA)との連携により、承認申請日から実質的に7日間で審査が終了し上市することができた。本品はクラスIV医療機器であること、また初期の設計から25年が経過しモデルチェンジが無かったことから、最新の審査方法に対応できるエビデンスが不足していたことが申請者の課題となった。弊社は本品を製造するNuMED社の本邦での総輸入元であったため、同社が製造する類似のバルーンカテーテルのエビデンスを有しそれが利用できたこと、そしてPMDAの審査官と昼夜を問わない連絡体制がとれたことが短い審査期間を達成できた要因であると考える。本品は最初の販売から25年経つが当社が今まで本邦で上市しなかった理由は、市場規模が小さい上、高額な審査費用と原価を大幅に下回る低価格な保険償還価格であった。これに対し本審査費用は「小児用医療機器の承認申請支援事業」の補助対象となり審査手数料の9割が助成された。また現在は「特定保険医療材料不採算品目引上げ要望」を厚生労働省医政局経済課に提出しヒアリング中であり、適正価格による市場への供給を目指している。また当社はNuMED社製「CPステント」の承認申請の準備を行っており、今回の経験を活かした承認申請を実施したい。