[III-YB07-2] 心原性ショックに対するECMOにおける動脈圧と予後の関連
キーワード:ECMO, cardiogenic shock, arterial pressure
【背景】小児ECMO治療における至適血圧は未だ確立されていない。本研究の目的はECMO治療における動脈圧が予後に与える影響を明らかにすることである。【対象・方法】対象は2010年4月から2020年4月に18歳未満の心原性ショックに対し、当院で導入したVA-ECMO患者で、48時間以内の離脱やLVADによる心臓移植待機例は除外した。ECMO中の平均動脈圧(MAP:6時間毎に測定し平均化)が死亡率に及ぼす影響を体格別に比較検討した。【結果】対象34例(心筋炎15例、開心術後9例、肺高血圧緊急症 5例、慢性心不全急性増悪 3例、重症不整脈 2例)は男性15例、月齢11(0-169)、BSA 0.52±0.37 m2、E-CPR 15例、ECMO期間167 (53-1003) hour、ECMO血流量 1.7±0.4 L/min/m2、MAP 68.4±12.1 mmHgで死亡 14例、生存例で低酸素脳症 6例、慢性腎不全 2例認めた。MAPをI群:40-65mmHg(13例) / E群:<40 or 65-90 mmHg(20例)で比較すると、死亡率はそれぞれ30.8%、45.9%で有意差を認めなかった(p=0.414)。BSA<0.25(I群 6例 / E群 4例)に着目すると、死亡はI群 1例(16.7%)、E群 4例(100%) とE群で有意に高かった(p<0.005)。 BSA>0.25 (I群 7例/E群 16例)では、死亡はI群 3例(42.9%)、E群 5例(34.8%)と有意差は認めなかった(p=0.591)。 【結語】体格が小さい小児ECMO治療において、至適血圧の遵守が死亡リスクを減少し得る可能性が示唆された。