[OR10-2] 正規化エラスタンスモデルを利用した単一心拍から収縮末期圧容積関係を求める新しい方法
キーワード:Simgle Beat法, 変時エラスタンスモデル, PVループ
【背景】我々は,一過性前負荷変化時の心室圧最大変化率(dp/dtmax)‐拡張末期容積(EDV)関係の傾きと心室圧最小変化率 (dp/dtmin)‐収縮末期容積関係 (ESV)関係の傾きの比をKとし,Kを用いてEmaxを定常状態の単一心拍のみから算出可能であることを報告した.今回我々はKの変動に影響を与える生理条件を調べ単一心拍からのEmax予測精度の向上を試みた.
【方法と結果】心室圧P(t)と心室容積V(t)の関係はP(t)=E(t)×(V(t)-Vo) 式1 と表せる.P(t)の変化率は式1を微分しdp/dt=dt[E(t)×(V(t)-Vo)]dtとなる(式2).E(t)の正規化関数 EN(tN)を用いるとE(t)= (Emax/tmax)×EN(tN)と表され,dp/dtmax,dp/dtminはそれぞれV(t)がEDV、ESV近辺で起こることより,式2からdp/dtmax= Emax/tmax×(d EN(tN)/dt max) ×(EDV-Vo)、dp/dtmin=Emax/tmax×(d EN(tN)/dt min) ×(ESV-Vo)と表現できる.よってd EN(tN)/dt maxとd EN(tN)/dt minの比Kが予測できれば単一心拍からVoおよびEmaxを求めうる.成犬25例において負荷条件が変わった状況で,EN(tN)を算出しd EN(tN)/dt maxとd EN(tN)/dt minを計測した.Kは0.72+/-0.18の比較的狭い範囲に収束したがばらつきが多くVoおよびEmaxの予測精度は低かったが,d EN(tN)/dt maxとd EN(tN)/dt min の比はdp/dtmaxとdp/dtmin の比に反映されることに着目し,その比と負荷条件、心拍数を多変量解析で検討すると、Kは高い精度で予測できた(K=0.71*dp/dtmax/dp/dtmin+1.12*EF - 0.01、r=0.94、P<0.001). 補正したKを用いて単一心拍からVoを算出すると補正なし(R= 0.5、SEE=0.52)に比し精度よく(R=0.71, SEE=0.25)予測できた。
【考察】変時エラスタンスモデルとその正規化エラスタンス曲線の相似性を利用した補正により、単一心拍から簡便にEmaxを推定することが可能である。心拍数のみならずdp/dtmax、dp/dtminまでの時間変数を組み入れることでさらに精度向上も可能と思われ検証に値する。
【方法と結果】心室圧P(t)と心室容積V(t)の関係はP(t)=E(t)×(V(t)-Vo) 式1 と表せる.P(t)の変化率は式1を微分しdp/dt=dt[E(t)×(V(t)-Vo)]dtとなる(式2).E(t)の正規化関数 EN(tN)を用いるとE(t)= (Emax/tmax)×EN(tN)と表され,dp/dtmax,dp/dtminはそれぞれV(t)がEDV、ESV近辺で起こることより,式2からdp/dtmax= Emax/tmax×(d EN(tN)/dt max) ×(EDV-Vo)、dp/dtmin=Emax/tmax×(d EN(tN)/dt min) ×(ESV-Vo)と表現できる.よってd EN(tN)/dt maxとd EN(tN)/dt minの比Kが予測できれば単一心拍からVoおよびEmaxを求めうる.成犬25例において負荷条件が変わった状況で,EN(tN)を算出しd EN(tN)/dt maxとd EN(tN)/dt minを計測した.Kは0.72+/-0.18の比較的狭い範囲に収束したがばらつきが多くVoおよびEmaxの予測精度は低かったが,d EN(tN)/dt maxとd EN(tN)/dt min の比はdp/dtmaxとdp/dtmin の比に反映されることに着目し,その比と負荷条件、心拍数を多変量解析で検討すると、Kは高い精度で予測できた(K=0.71*dp/dtmax/dp/dtmin+1.12*EF - 0.01、r=0.94、P<0.001). 補正したKを用いて単一心拍からVoを算出すると補正なし(R= 0.5、SEE=0.52)に比し精度よく(R=0.71, SEE=0.25)予測できた。
【考察】変時エラスタンスモデルとその正規化エラスタンス曲線の相似性を利用した補正により、単一心拍から簡便にEmaxを推定することが可能である。心拍数のみならずdp/dtmax、dp/dtminまでの時間変数を組み入れることでさらに精度向上も可能と思われ検証に値する。