The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

カテーテル治療

デジタルオーラルI(OR11)
カテーテル治療 1

指定討論者:江原 英治(大阪市立総合医療センター)
指定討論者:矢崎 諭(榊原記念病院)

[OR11-1] 小児におけるステント留置術の現状;JCICレジストリからの解析

富田 英1, 金 成海2, 犬塚 亮3, 松井 彦郎3, 小林 徹4, 加藤 温子5, 藤井 隆成1 (1.昭和大学病院 小児循環器・成人先天性心疾患センター, 2.静岡県立こども病院 循環器科, 3.東京大学医学部附属病院 小児科, 4.国立成育医療研究センター 企画運営部, 5.国立循環器病研究センター病院 小児循環器内科)

Keywords:先天性心疾患, ステント, レジストリ

【目的】本邦では先天性心疾患を適応症として承認されたステントはなく、先天性心疾患ともなう血管狭窄に対しては適応外使用されているが、2010年のJPIC stent survey以後、先天性心疾患に対するステント留置術に関する本邦からの包括的なはない。本研究の目的は、日本先天性心疾患インターベンション学会のレジストリー(JCIC-R)に登録された先天性心疾患に対するステント留置術のデータを解析し、先天性心疾患を適応症とするための一助とすることである。【方法】2016-2018年の間にJCIC-Rに登録された、391例に対する443セッション、470回の先天性心疾患に対するステント留置術のデータを解析した。本研究は厚生労働省による小児用医療機器の使用実態を踏まえた設計・評価における留意事項に関する研究事業として行われ、JCIC-Rのデータ利用についてはJCICデータ利用検討部会、および静岡県立こども病院倫理委員会の承認をえた。【成績】443セッションのうち427セッション(96.4%)で留置手技が完了した。手技の完了率は年齢により有意差を認めなかった。ステント留置後の30日生存率は416セッション、367例(91%)であった。392回の入院のうち357回(91%)は生存退院であった。ステント留置に関連した死亡は4例であった。443セッションのうち55セッションで何らかの院内合併症を認めた。院内死亡と重篤な合併症を認めた群は、認めなかった群に比して以下いずれかの術前危険因子が有意に多かった;低年齢(p=0.003)、術前のNYHA IIIまたはIVの心不全症状(p=0.03)、動脈管依存性循環(p=0.03)、肺高血圧(p=0.004)、人工呼吸器依存状態(p=0.0002)、強心薬依存状態(p<0.0001)、補助循環装置依存状態(p=0.02)。【結論】ステント留置術は幅広い年齢層、多様な先天性心疾患にともなう血管狭窄に対して行われていた。本データは先天性心疾患をステントの適応症として申請するための基礎データとなるものと考えられる。