[OR11-3] Rashkind BASカテーテル供給停止後の我が国におけるstatic BASの実態調査
Keywords:BAS, カテーテル治療, Rashkind
【はじめに】国内でのBalloon atrial septostomy (BAS)用カテーテルは2020年9月にMedtronic社製Rashkind BASカテーテルが全世界的に自主回収となった際、新規供給停止という緊急事態に陥った。当時static BASは国内未承認の手技であり、この状況下での国内の実態調査が必要と考えられた。【対象・方法】2020年10月1日から2020年12月15日までを対象期間とし、国内主要施設で実施されたBASに関してアンケート調査を行った。【結果】国内90施設にアンケートを行い70施設から回答を得た(回答率78%)。対象期間内に施行されたBASは47回、内訳はRashkind BAS 22回、static BAS 19回、両者併用6回であり、併用例も含めstatic BAS施行例は25例であった。static BASに関して施行時日齢と体重の中央値はそれぞれ日齢10と3001g、最多の対象疾患は完全大血管転位と左心低形成症候群の8例。static BAS理由は解剖学的により適していた13例、Rashkindカテーテル節約目的12例であった。使用balloon径は最多が10mm(13回)、次点が12mm(10回)であり、ダブルバルーンは3例に使用され、その径は8+8mm,10+10mm,12+12mmが1例ずつであった。術者による3段階の効果判定ではexcellent 10例, good15例, poor 0例。合併症は心タンポナーデ1例、後にRashkind BAS追加が2例。今回の調査でのBASに対するstatic BASの割合(25/53)は2018年のレジストリデータから抽出したもの(86/304)と比較して有意に高い割合となったが、Rashkindカテーテル節約目的の12例がRashkind BASを行っていたと仮定すれば(13/53)2018年と同程度の割合となった。【結論】static BASは広く行われ、有効な手技であり、BASカテーテル供給停止の影響を受け使用頻度は増加していた