第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

カテーテル治療

デジタルオーラルI(OR11)
カテーテル治療 1

指定討論者:江原 英治(大阪市立総合医療センター)
指定討論者:矢崎 諭(榊原記念病院)

[OR11-3] Rashkind BASカテーテル供給停止後の我が国におけるstatic BASの実態調査

馬場 健児1,2, 須田 憲治1,3, 高室 基樹1,4, 高橋 信1,5, 杉山 央1,6, 藤本 一途1,7, 北野 正尚1,8, 藤井 隆成1,9, 喜瀬 広亮1,9, 大月 審一1,10, 富田 英1,9 (1.JCIC学会 BASカテーテルワーキンググループ, 2.岡山大学病院 IVRセンター小児循環器, 3.久留米大学 小児科, 4.北海道立子ども総合医療・療育センター 循環器科, 5.岩手医科大学 小児科, 6.聖隷浜松病院 小児循環器科, 7.国立循環器病研究センター小児循環器内科, 8.沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 小児循環器内科, 9.昭和大学病院 小児循環器・成人先天性心疾患センター, 10.岡山大学病院 小児循環器科)

キーワード:BAS, カテーテル治療, Rashkind

【はじめに】国内でのBalloon atrial septostomy (BAS)用カテーテルは2020年9月にMedtronic社製Rashkind BASカテーテルが全世界的に自主回収となった際、新規供給停止という緊急事態に陥った。当時static BASは国内未承認の手技であり、この状況下での国内の実態調査が必要と考えられた。【対象・方法】2020年10月1日から2020年12月15日までを対象期間とし、国内主要施設で実施されたBASに関してアンケート調査を行った。【結果】国内90施設にアンケートを行い70施設から回答を得た(回答率78%)。対象期間内に施行されたBASは47回、内訳はRashkind BAS 22回、static BAS 19回、両者併用6回であり、併用例も含めstatic BAS施行例は25例であった。static BASに関して施行時日齢と体重の中央値はそれぞれ日齢10と3001g、最多の対象疾患は完全大血管転位と左心低形成症候群の8例。static BAS理由は解剖学的により適していた13例、Rashkindカテーテル節約目的12例であった。使用balloon径は最多が10mm(13回)、次点が12mm(10回)であり、ダブルバルーンは3例に使用され、その径は8+8mm,10+10mm,12+12mmが1例ずつであった。術者による3段階の効果判定ではexcellent 10例, good15例, poor 0例。合併症は心タンポナーデ1例、後にRashkind BAS追加が2例。今回の調査でのBASに対するstatic BASの割合(25/53)は2018年のレジストリデータから抽出したもの(86/304)と比較して有意に高い割合となったが、Rashkindカテーテル節約目的の12例がRashkind BASを行っていたと仮定すれば(13/53)2018年と同程度の割合となった。【結論】static BASは広く行われ、有効な手技であり、BASカテーテル供給停止の影響を受け使用頻度は増加していた