[OR11-6] 左脚ブロックを合併した左心不全患者に対するADO1を用いた経皮的心室中隔欠損閉鎖術
キーワード:経皮的心室中隔欠損閉鎖術, ADO1, CLBBB
【背景】 経皮的心室中隔欠損閉鎖術は国内では症例報告に留まり未承認治療である。【症例】 79歳男性、診断は左心機能低下、完全左脚ブロック、膜様部心室中隔欠損 (pmVSD)。小児期に心雑音を指摘されたが精査はされず無症状で過ごしてきた。入院3ヵ月前に誘因なく浮腫、倦怠感、労作時息切れが生じ体重が約9kg増加した。胸部レントゲンでCTR 80%、肺うっ血、両側胸水あり、心電図で完全左脚ブロック、心エコーで約6 mmのpmVSDあり、LVDd/Ds 74/63 mm、LVEF 24%、BNP 1600、心カテでQp/Qs 1.6、PVR 2.8 WU、冠動脈病変なし、心筋生検で有意所見はなかった。低心機能から外科的閉鎖術のリスクは高く、経皮的pmVSD閉鎖術後にCRT-D植え込みを行う方針となり、院内の倫理委員会で承認を得た。全身麻酔下、TEEガイド下で、一次ペーシングを留置後にカテを開始、左室造影とTEEでpmVSD最小径は5mm弱と計測した。大腿動脈から左室に入れた4F JRでpmVSDを介して右室にワイヤを通し、肺動脈内で大腿静脈から入れたスネアでワイヤを把持して引き出し大腿動静脈ループを作成した。ループ作成時にワイヤが右室内組織を通り、システムが直線にならず複数回やり直しを要した。ループに沿って大腿静脈からデリバリシースを上行大動脈まで通し、ADO1 (8/6mm)を上行大動脈から展開し留置した。離脱前に右室へ脱落し10/8mmへサイズアップし再留置した。手技に伴う合併症や留置後のブロックはなかった。閉鎖後の心エコーで残存短絡はなく、閉鎖前後でBNPは240から140へ低下し、CTRやLVDdはほぼ不変であった。【結語】外科的閉鎖術のリスクが高い心室中隔欠損において、ADO1を用いた経皮的閉鎖術は安全かつ有効な治療となり得る。