[OR13-5] Fontan術前後の心臓カテーテル検査に位相差MRI流量分析を組み合わせた血行動態評価
キーワード:フォンタン, 大動脈肺動脈側副血行, MRI
【背景】Fontan(F)術前後の心臓カテーテル検査(CC)の圧測定に位相差MRI流量分析(MRI)を組み合わせればより正確な血行動態評価ができる。【目的】F循環破綻危険因子について検討。【方法】対象は2009~2020年にGlenn(G)術後(pre)とFontan術後(post)にCC/MRIを組み合わせて行った47症例94セッション。F術前2週間以内に大動脈肺動脈側副血行(APC)に対してコイル塞栓術(CE)を行った。MRIにより肺血流量(Qp)は肺静脈合計、体血流量(Qs)は体静脈合計、APCは直接法(肺静脈合計と肺動脈合計の差)と間接法(上行大動脈と体静脈合計の差)の平均、肺血管抵抗(Rp)はCC による肺動脈圧勾配/Qpで算出。F循環破綻回避のため肺血管拡張薬(平均肺動脈圧(mPAP)15mmHg以上)または在宅酸素療法(動脈血酸素飽和度(SaO2)Glenn術後70%以下、開窓Fontan術後90%以下)による補助有27例と補助無20例で比較。【結果】補助有/無で表示。postAPC 1.6±0.8/0.7±0.5l/min/m2, postQs 2.8±0.6/3.2±0.4l/min/m2, postmPAP 14±2/12±2mmHg, prePAI(肺動脈係数) 171±57/241±51, postPAI 186±66/222±49, preSaO2 75±7/81±3%, postSaO2 87±7/94±1%で有意差あり。多変量解析ではpostAPCのみ有意差あり(オッズ比9.5、95%CI 1.8-49.0, p=0.007)。Cutoff値はpostAPC 1.1l/min/m2(AUC 0.84、95%CI 0.70-0.97、p=0.001)。先行手術は補助有で肺動脈絞扼術、補助無で短絡手術が多かった。先行手術数、G月齢、F月齢、GF間隔, APC塞栓コイル数、ドレナージ期間、体静脈走行異常(両側上大静脈、下大静脈欠損)、APC増悪因子(横隔神経麻痺、縦隔炎、上葉枝閉塞、肺静脈閉塞)に有意差なし。【結語】F循環破綻予備群はPAIが低くSaO2も低値で、少ない順行性肺血流、低酸素血症を代償するためAPCが発達し結果Qsが少なかった。CEはF術後急性期管理を改善している可能性があるが、補助有ではAPCはF術後しばらくすると再発達していると考えられた。