[OR14-3] 学校心臓検診でQT延長を指摘された患者の臨床像
Keywords:QT延長症候群, 学校心臓検診, 心臓突然死
【背景】QT延長症候群は学校心臓検診において重要な疾患の一つだが、検診を契機にQT延長を指摘された患者の経過についての報告は多くない。【目的】学校心臓検診でQT延長を指摘された患者の臨床像の検討。【方法】2010年9月-2020年9月の10年間に学校心臓検診でQT延長を指摘され、茨城県立こども病院を受診した患者を対象とした。患者背景、症状、家族歴、心電図所見、遺伝子型、転帰について診療録から後方視的に検討した。【結果】全67例(男32例)、小学1年生19例、4年生6例、中学校1年42例。観察期間は0-117か月(中央値32か月)。失神の既往があった患者は3例、3親等以内に失神や突然死、QT延長の家族歴のある患者は12例(19%)。受診時心電図のQTc(Bazett)は378-529ms(中央値456ms)、500ms以上の症例は3例。運動負荷心電図やHolter心電図でVTが見られた症例なし。Schwartzのリスクスコア3.5点以上が21例(31%)、1.5~3点が22例(33%), 1点以下が24例(36%)。遺伝子検査は22例(34%)に施行され、12例(19%)で病的変異が同定された(KCNQ1 7例、KCNH2 2例、SCN5A 1例、CACNA1C 2例)。CACNA1C 変異の2例(兄弟)は合指はなく軽度の知的障害を呈した。経過観察中11例にβブロッカーを導入し、15例は生活管理指導表で何らかの運動制限を指示した (水泳や潜水禁止含む)。経過観察中4例が失神し死亡例なし。通院中断症例は13例(19%)。3例は成人循環器内科に紹介した。10例は経過観察後フォローを終了した。検診を契機に3家系7例の血縁者においてQT延長および病的遺伝子変異が同定された。【結語】経過観察中に失神した症例がおり、学校心臓検診は発症前のQT延長症候群診断に有用だった。無症状の家系メンバーの検出にも寄与し得る。