[OR15-1] 頻発する心室期外収縮の小児例の予後
キーワード:心室期外収縮, 予後, 治療
【はじめに】成人の心室期外収縮(PVC)は、数が多いと心機能低下をきたすとされる。しかし小児における報告は多くない。小児のPVC頻発例の予後を検討した。【対象】2006年~2020年までの15年間で当院を受診したPVCのうち、当院での初回ホルター心電図でPVCが10%以上認められた症例を対象とした。基礎心疾患の既往のあるものおよび筋疾患や化学療法後など心筋障害の可能性のある疾患は除外した。【結果】対象は37例で、性別は男17例、女20例、初診時年齢0~14歳(中央値10歳)、ホルター心電図のPVC頻度は10.1~51.4%(中央値15.1%)。診断契機は学校心臓検診17例、健診8例、他疾患での受診11例、胸痛1例であった。連発は24例に認められ、うち1例は非持続性心室頻拍であった。PVC波形は左脚ブロック下方軸が18例、左脚ブロック上方軸が8例、右脚ブロック下方軸が4例、右脚ブロック上方軸が4例であり、右室起源と推定されるものが多かった。左室収縮低下は1例に認められた。6例で治療が行われ、内服が3例、アブレーションが5例、アブレーション施行時年齢は7~13歳(中央値9歳)、うち成功例は4例であった。観察期間は0~7年(中央値3年)で、無治療で経過観察されたものが31例であった。複数回のホルターが施行された18例中、頻度が減少したものは12例で、増加したものは1例のみであった。左室収縮低下が認められた症例は、アブレーション施行後にPVCが消失し、左室収縮も正常化した。【まとめ】小児期の基礎疾患のない心室期外収縮の予後は比較的良好で、左室収縮低下をきたすものはまれである。頻発していても自然に減少する例も多い。左室収縮低下例ではアブレーションが有効な可能性がある。