[OR16-1] 小児上室頻拍に対する高密度3Dマッピングの有効性と安全性
キーワード:カテーテルアブレーション, high-density 3D mapping, 心臓電気生理学的検査
背景:小児においても発作性上室頻拍はカテーテルアブレーション治療が積極的に行われ、良好な成績となっている。その要因の一つに高密度3Dマッピングシステムの貢献が挙げられる。目的:高密度マッピングシステムを用いたマッピングの有効性および安全性に関して明らかにする。対象と方法:対象は、当院で高密度3D マッピングシステム(Orion:64極バスケットカテーテルおよびRhythmiaシステム)を用いて診断、治療を行った小児5例(5-13歳、男児4例、体重22-54kg)。結果:心臓電気生理学的検査で発作性上室頻拍は5症例で7種類が誘発された(通常型房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT):2、左側副伝導路房室回帰性頻拍(AVRT):3、左心耳起源心房頻拍(AT):1、通常型心房粗動(AFL):1)。高密度マッピングは左房2例(4回)、右房3例(7回)であった。マッピング時間11.6分(6.1-18.7分)、電位取得のための心拍507.8拍(67-934拍)マッピングポイント数4292.5(1590-3865)であった。頻拍回路の同定のために行ったマッピングにおける手動での電位補正は7ポイント(0.02%)であり、取得したポイントの修正はほぼ必要がなかった。急性期アブレーション成功率は100%であった。心タンポナーデ、血栓塞栓症などの重篤な合併症はなかった。それぞれの頻拍で高密度マッピングが有効であった点はAVNRTではHis束電位記録部位との距離の把握ができ、より安全に通電が可能であった。AVRTでは副伝導路の同定が容易であり、複数副伝導路の症例においては複数副伝導路の可視化が可能であった。結語:小児発作性上室頻拍において高密度3Dマッピングシステムは比較的安全に行う事が可能であり、アブレーション治療の成功率向上に寄与すると思われた。