The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

集中治療・周術期管理

デジタルオーラルI(OR17)
集中治療・周術期管理 1

指定討論者:松井 彦郎(東京大学医学部小児科)
指定討論者:大崎 真樹(東京都立小児総合医療センター)

[OR17-2] 当院PICUに入室した食道閉鎖TEF typeCを合併した先天性心疾患CHD症例の治療戦略について

杉村 洋子 (千葉県こども病院 集中治療科)

Keywords:食道閉鎖, 先天性心疾患, 治療戦略

【背景】CHDとTEF typeCの合併例は新生児期の術後はもとより、気道の問題などでその後も集中治療室に入室する機会が多い。【目的】当院で経験したCHDとTEF typeCの合併例の治療経過を振り返り、治療戦略と注意点を洗い出す。【対象と方法】単施設後方視的観察研究。1989年の当院開設から2021年2月までにPICUに入室した前述の条件を満たす10症例を対象とする。【結果】心疾患のみの合併は4例、心疾患及び気道・肺に問題がある症例は4例、心疾患と染色体異常を合併した症例は2例であった。合併した心疾患はファロー四徴症TOF類縁疾患:3例、心室中隔欠損症VSD+α:3例、総肺静脈環流異常症TAPVR:2例、複雑心奇形:2例。いずれの症例も小児外科が最初に介入し、次いで心臓外科がBTシャントやTAPVR修復を施行した。気道や肺の合併例への介入時期は様々であった。2000年以降は、最初に食道絞扼術と胃瘻造設を施行し、食道閉鎖根治術は循環動態が安定している状態で施行されている。転帰は死亡2例、軽快7例、不明1例であった。【考察】血行動態及び酸素供給が不安定な時期に消化管を吻合するような手術は可及的に回避し、低侵襲な食道絞扼術と胃瘻造設を選択する。次に壊死性腸炎NECや縫合不全等の合併症を防ぐために、心臓外科は動脈血酸素飽和度が低値ではなく、血行動態の安定化を図る術式を施行し、食道閉鎖根治術に到達する。その後に二心室疾患には心内修復術を施行し、単心室疾患はグレン手術、フォンタン手術へとすすむ。他臓器に対する手術介入が必要な場合は、心臓に関する介入が終了した後の場合が多かった。【結語】当CHDを合併したTEF type C患者への治療戦略は、(1)食道は一期根治はせずに、低侵襲の手術を初回とする。(2)その後に、血行動態に応じた心臓手術を施行する。(3)気管気管支・肺は必要に応じて時期は限定せずに介入する。(4)他の手術は心内修復術が完了したのちに施行する。