[OR17-4] 生後早期に開心術が必要な重症先天性心疾患患者における術後急性期持続的血液浄化療法
Keywords:急性腎不全, 血液透析, 先天性心疾患術後
【はじめに】生後早期の先天性心疾患開心術後における急性期腎不全(ARF)に対する治療は、一般的には腹膜透析が選択されるが、除水や溶質除去効率が悪く術後管理に難渋することが多い。当院では術後ARFに対し経右心房的持続的血液浄化療法(CHD-RA)を導入しており、新生児期においても良好な成績がえられている。【目的】当院で生後3か月までに手術を行い術後早期にCHD-RAを行った患者の背景と臨床像を明らかにする【対象と方法】2019年1月以降、術後CHD-RAを導入した先天性心疾患患者4例。カテーテルはユニチカ製ウロキナーゼ固定化抗血栓ダブルルーメンカテーテル「ベビーフロー6Fr」あるいは「ツインエンド8Fr」(ともにユニチカ社、愛知)を用いた。術野において左鎖骨下より心嚢内にブラッドアクセスカテーテルを挿入、さらに右心耳より下大静脈に向けてカテーテルを挿入し、先端が下大静脈内、側溝が右心房内に位置するように固定。ICU収容後に循環動態の変化に注意しながら慎重に血液ポンプを開始し、循環が安定していることを確認した後に除水を開始した。【結果】手術時日齢0~82(中央値17)、手術時体重2.8~3.9kg(中央値3.3kg)、心疾患は左室型単心室/重度房室弁逆流、総肺静脈還流異常(TAPVC)/肺静脈閉鎖、心内膜床欠損/非連続肺動脈/両側動脈管/重度房室弁逆流、左心低形成症候群(MS,AA)でそれぞれDKS+Glenn+三尖弁閉鎖、TAPVCrepair、房室弁形成術+肺動脈形成術+BT shunt、primary Norwood手術を施行。人工心肺時間257~505分(中央値339分)、大動脈遮断時間91~206分(中央値152分)、CHD-RA期間4-5日間(中央値4.5日)、挿管期間5-40日間(中央値12日)、CHD-RA中の循環動態への影響/合併症なく、全例生存退院。【まとめ】長時間の体外循環により惹起される心筋収縮力低下、血管透過性亢進によりおこる開心術後ARFに対して、CHD-RAにより水分出納を効率よく調節することで救命率向上に寄与する可能性がある。