The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Digital Oral

集中治療・周術期管理

デジタルオーラルI(OR18)
集中治療・周術期管理 2

指定討論者:猪飼 秋夫(静岡県立こども病院)
指定討論者:岩田 祐輔(岐阜県総合医療センター)

[OR18-1] Fontan手術術後に肺障害を発症した症例の検討

村岡 衛1, 兒玉 祥彦1, 倉岡 彩子1, 原 卓也1, 石川 友一1, 中村 真1, 佐川 浩一1, 帯刀 英樹2, 中野 俊秀2, 角 秀秋2 (1.福岡市立こども病院 循環器科, 2.福岡市立こども病院 心臓血管外科)

Keywords:Fontan, 周術期, 肺障害

【背景】Fontan手術後急性期に術前の状態から想定されない重篤な肺障害を発症し集中治療を要する症例が存在する。今回我々はFontan術後の肺障害ため集中治療を要した症例を経験したので、治療経過および同様に肺障害を発症した過去の症例を後方視的に検討し報告する。【方法】2016年1月から2020年12月までの5年間に当院で施行されたFontan手術のうち術後に重篤な肺障害(肺病変で画像検査またはエラスポール/ステロイド等の治療を要した)を呈した8名について検討した。同時期に施行した明らかな肺障害のない群(42名)をコントロール群とし、年齢、原疾患、Fontanまでの経過、手術前のカテーテル、心エコー、血液検査について検討した。【結果】術後肺障害を呈し治療/検査を要した患者は8名(男児6名、女児2名)で、原疾患はHLHS(variantを含む)6例、PAIVS 1例、TGA. hypoRV 1例であった。Fontan年齢は3(1-7)歳、手術時体重11.2kg、1例がfenestrated TCPCであった。肺障害発症時期は中央値1.5(1-5)日で、うち4例は術後1日に胸部X線で変化を認めた。5例はステロイド投与(うち2例はステロイドパルス)を要した。術後入院期間は中央値51(34-131)日で1例が死亡退院であった。解析ではFontan手術前に肺動脈形成を要した患者が多く(62.5% vs 21.4%, p=0.018)、Fontan前の手術回数も多かった(3.5回vs 2.0回、p=0.0011)。手術前のカテーテル検査ではCVPやSpO2、肺静脈のSaO2、肺血管抵抗では有意差が認めなかったが、PA indexは低値(172 vs 257, p=0.0025)であった。多変量解析ではFontan前手術回数Odds比14.4 (95%CI 0.0006-0.74, p=0.0022), PA index Odds比1.03 (95%CI 0.99 -1.07, p=0.011)であった。 【結語】術前に明らかな肺障害がなく、CVP/肺血管抵抗上昇がない症例でも手術回数が多い症例、肺動脈形成が必要であった症例、肺動脈が細い症例では術後に肺障害を発症する傾向があるのかもしれない。