[OR18-5] 小児心移植術後の早期抜管に影響を与える因子についての検討
キーワード:心移植, 早期抜管, 抜管困難
【背景】近年、周術期管理などの進歩に伴い、小児心臓手術後の人工呼吸管理は短くなった。諸外国では早期抜管についての文献が散見されるが、本邦では小児心臓移植の歴史も短いため同様の検討はほとんどみられない。
【目的】小児心臓移植術後の挿管期間について後方視的に検討し、その要因を考察する。
【方法】2014年から2020年までに当院で心移植術を施行した小児患者のうち、術前後の診療情報、検査データの参照可能な22例を対象とし、診療情報や検査データを統計学的に検証した。
【結果】男女比は1:1、移植時年齢10.3±6.0歳、原疾患はDCM 12例、RCM 7例、ICM1例、致死性不整脈 1例、心筋炎後心筋症1例であった。術後手術室抜管例はなく、4例が術後3日目以降で抜管または抜管できずに気管切開となった。抜管遷延の理由としては右心機能低下や肺高血圧によるNO長期投与が2例、術前からの気管切開例が1例、術後循環不全が1例であった。抜管困難となる因子として、術後カテコラミンの投与日数(p=0.0062)、術後ICU入室時のVasoactive-Inotropic Score高値(p=0.045)、術後12時間の乳酸高値(p=0.033)、術前エコーでのTAPSE低値(p=0.0176)に有意差を認めた。またRCM(p= 0.077 )が有意差はないものの抜管遷延例に多い傾向にあった。年齢、身長、体重、術前のBNP、心虚血時間、体外循環時間、入室時または6, 24時間後の乳酸値に有意差はなかった。
【考察】少ない変力サポートが早期抜管の要因との報告もあり、術後の速やかな循環動態の立ち上がりが重要な一因と考えられた。一方で抜管遷延因子として過去の報告にある、低体重や腎不全などは本研究では差を認めず、乳幼児が少ない事が影響していることが推察された。
【結語】人工呼吸管理が長期に及ぶ早期抜管に影響を与える因子として、術後のカテコラミン投与、乳酸値、術前のエコーでのTAPSEが指標となる可能性がある。
【目的】小児心臓移植術後の挿管期間について後方視的に検討し、その要因を考察する。
【方法】2014年から2020年までに当院で心移植術を施行した小児患者のうち、術前後の診療情報、検査データの参照可能な22例を対象とし、診療情報や検査データを統計学的に検証した。
【結果】男女比は1:1、移植時年齢10.3±6.0歳、原疾患はDCM 12例、RCM 7例、ICM1例、致死性不整脈 1例、心筋炎後心筋症1例であった。術後手術室抜管例はなく、4例が術後3日目以降で抜管または抜管できずに気管切開となった。抜管遷延の理由としては右心機能低下や肺高血圧によるNO長期投与が2例、術前からの気管切開例が1例、術後循環不全が1例であった。抜管困難となる因子として、術後カテコラミンの投与日数(p=0.0062)、術後ICU入室時のVasoactive-Inotropic Score高値(p=0.045)、術後12時間の乳酸高値(p=0.033)、術前エコーでのTAPSE低値(p=0.0176)に有意差を認めた。またRCM(p= 0.077 )が有意差はないものの抜管遷延例に多い傾向にあった。年齢、身長、体重、術前のBNP、心虚血時間、体外循環時間、入室時または6, 24時間後の乳酸値に有意差はなかった。
【考察】少ない変力サポートが早期抜管の要因との報告もあり、術後の速やかな循環動態の立ち上がりが重要な一因と考えられた。一方で抜管遷延因子として過去の報告にある、低体重や腎不全などは本研究では差を認めず、乳幼児が少ない事が影響していることが推察された。
【結語】人工呼吸管理が長期に及ぶ早期抜管に影響を与える因子として、術後のカテコラミン投与、乳酸値、術前のエコーでのTAPSEが指標となる可能性がある。