The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

心筋心膜疾患

デジタルオーラルI(OR19)
心筋心膜疾患

指定討論者:小垣 滋豊(大阪急性期・総合医療センター)
指定討論者:武田 充人(北海道大学病院)

[OR19-3] 5-アミノレブリン酸及びクエン酸第一鉄ナトリウムがミトコンドリア病患者の心機能に与える影響

石井 徹子, 青墳 裕之 (千葉県こども病院 循環器内科)

Keywords:ミトコンドリア病, 5-アミノレブリン酸, Diastolic wall strain

【背景】5-アミノレブリン酸及びクエン酸第一鉄ナトリウム(ALASFC)がミトコンドリア病でミトコンドリア機能を改善させることが報告された。【目的】ALASFCがミトコンドリア病患者の心機能に与える影響を明らかにする。【対象】当院のリー脳症に対しALASFC治験参加8例。本治験は24週間の内服後48週の二重盲試験期間があり、その後長期内服を行う。今回は8人中、長期投与導入後24週以上経過していた6例のうち評価可能な画像の得られた5例を対象とした。1例は二重盲期間に意識障害、循環停止をきした症例。【方法】導入前、投与後の心エコー検査を比較検討。左室拡張末期径(DD)、短縮率(FS)、後壁厚(PWT)、Diastolic wall strain(DWS)を、導入前、長期投与後24週以上経過した最新データで比較。Diastolic wall strainは報告正常値と比較。【結果】導入時年齢は平均8.1±4.6歳、中央値7.2歳であった。導入後の経過観察期間は平均299±65日、中央値327日。導入前DDは78%Nから102%Nで80%N以下は1例であった。治療後4例でDDの増大を認めた。FSは治療前後ともに全例28%以上で、収縮不全を認めたものはいなかった。PWTは84%Nから126%Nで、120%N以上の壁肥厚を1例で認めた。治療後は91%Nから120%N、同一症例で120%N以上の壁肥厚を認めた。Diastolic wall strainは3例で報告正常値より低値であった。4例で導入後改善を認めた。改善を認めなかった一例は偽薬期間にショックをきたした症例であった。【結語】小児期のリー脳症には明らかな心筋肥厚を認めない症例でも、拡張能低下を有することがある。ALASFCにより拡張機能の改善が認められる可能性がある。