[OR2-3] 乳児の心内構造における体組成の影響
Keywords:心内構造, 体組成, 乳児
目的:先天性心疾患の治療方針決定には体表面積に基づいて算出される正常予測値が使用される。しかし、体表面積には除脂肪体重や体脂肪率などの体組成が加味されていない点で、正常予測の正確性に限界がある。PEA PODは空気置換法を用いた乳幼児体組成評価システムで、低侵襲かつ短時間で正確な体組成評価が可能である。乳児を対象とし、本システムを用いた体組成と心内構造との関連を検討した。方法:正常心内構造の乳児を対象とし、予定日周辺(修正37週0日から41週6日)で、心臓超音波検査で大動脈弁輪径、僧帽弁輪径、左室心筋重量を、PEA PODを用いて体脂肪率、体脂肪量、除脂肪体重を計測した。対象を体脂肪率の中央値(15.3%)で体脂肪率高値群、体脂肪率低値群の2群に分け、下記3項目に関し2群間で比較検討を行った。1)大動脈弁輪径、僧帽弁輪径の実測値、2) それらの実測値と従来の心臓血管構造回帰式から求めた正常値との差、3)左室心筋重量、左室心筋重量係数(左室心筋重量/体表面積および左室心筋重量/身長2.16)。結果:対象は67人。在胎週数は35.3(24.9-40.6)週、出生体重は2007(533-3567)g、計測時日齢85(7-198)日、計測時体重は2644(1979-3931)gであった。大動脈弁輪径、僧帽弁輪径の実測値は2群間で有意差はなかったが、大動脈弁輪径、僧帽弁輪径の実測値と従来の心臓血管構造回帰式から求めた正常値との差は、体脂肪率高値vs体脂肪率低値群でそれぞれ0.4±0.5mm vs 0±0.5mm、2.1±0.7mm vs 1.5±0.7mmとどちらも体脂肪率高値群で有意に大きかった(P<0.05)。左室心筋重量/体表面積は2群間で有意差はなかったが、左室心筋重量、左室心筋重量/身長2.16はそれぞれ1.5±5.5g vs 1.1±4.7g、28.0±8.3g/cm2.16 vs 23.5±5.3 g/cm2.16とどちらも体脂肪率高値群で有意に大きかった(P<0.05)。結論:心内構造の正常値予測には体組成を加味することが望ましい可能性が示唆された。