[OR20-3] 中学生、高校生への植込み型補助人工心臓実施後の復学への課題と当院での取り組み
Keywords:植込み型LVAD, 重症心不全, 復学
【はじめに】植込み型補助人工心臓(VAD)の小型化に伴い、より体格の小さい中学生や高校生への植込みが可能になった。中高生へのVAD植込み後は学校復帰など年齢特有の問題がある。18歳未満の植込み型VADの現状と復学への問題点、その取り組みについて報告する。【結果】2011年1月から2020年12月までの植込み型VAD 68例中18歳未満の症例は7例であった。植込み時年齢14.6±2.0歳(中学生4例・高校生3例)、植込み時BSA 1.42±0.20m2、補助期間は1.0±0.8年であった。原疾患は拡張型心筋 4例、冠動脈走行異常による虚血性心筋症 1例、筋ジストロフィー関連 1例、左室緻密化障害 1例であった。植込み機器はHVAD 5例、Jarvik2000 1例、HeartMate2 1例であった。2021年1月31日現在、移植待機4例、移植到達1例、心機能回復・VAD離脱1例、死亡1例(植込み2.6年目の不整脈)であった。7例中1例は術後入院継続中で、6例が自宅退院に至った。6例中2例が植込み期間中に復学したが、4例は復学に至らなかった。復学に至った2例は東京都と千葉県在住の中学生症例で、学校側の受け入れが容易になるよう、VAD関連医師・看護師・臨床工学技士による学校訪問、勉強会、器機対応の講義などを事前に要したが、植込み前に通学していた学校へ復学した。復学に至らなかった4例のうち神奈川県在住の高校生1例は課題などで卒業資格を得た。心臓移植治療のため東海地方から東京に転居した中学生1例は移植到達後に東京都の中学校に転校し復学した。同様に甲信越地方から東京に転居した高校生1例・中学生1例は現在自宅学習継続中で、高校生は通信制への切り替えを調整中で、中学生は転校を調整中だが目途はたっていない。【まとめ】VAD植込み後の復学に関し、地方から東京都への転校が障害になっているのが現状である。転校に対する本人へのサポートを充実させると共に、特に義務教育である中学校において、学校側へのVADの啓蒙がさらに必要になってくる。