The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

心不全・心移植

デジタルオーラルI(OR20)
心不全・心移植 1

指定討論者:田ノ上 禎久(九州大学大学院医学研究院重症心肺不全講座)
指定討論者:犬塚 亮(東京大学)

[OR20-4] 当院におけるEXCOR Device関連合併症の経験

枡岡 歩1, 細田 隆介1, 永瀬 晴啓1, 淵上 裕司1, 戸田 紘一2, 鈴木 孝明1 (1.埼玉医科大学国際医療センター重症心不全・心臓移植センター 小児心臓外科, 2.埼玉医科大学国際医療センター重症心不全・心臓移植センター 小児心臓科)

Keywords:心不全, 補助循環, 補助人工心臓

【背景】本邦でのEXCOR装着数は80例を超えているが、様々な合併症を乗り越えながら年単位での移植待機が必要である。その合併症としてdevice関連も少なくない。【対象】2016年より現在までにEXCORを装着した7例(装着時年齢3.06歳:月齢2ヶ月-8歳、体重9.3kg:4.1kg-16.5kg)を対象。DCM3例、慢性心筋炎1例、LVNC2例、cAVSD術後1例。pump sizeは10ml:2例、15ml:3例、25ml:2例。予後は渡航移植1例、国内移植2例、VAD離脱1例、補助継続中3例。【結果】特殊なpump関連合併症として6mm→9mm送脱血管へコネクティングキットを用いたsize up後、6mm送血管損傷を2例(同一症例)に認めた。pump交換はのべ18回、枕現象を伴うメンブレン損傷(全例でほぼ循環補助不能)による緊急pump交換7例(15ml pump 5例、25ml pump 2例)、pump内血栓による緊急pump交換4例、EXCOR空気室のグラファイト蓄積を伴うメンブレン異常(深い皺や窪み)による予防交換3例(15ml pump 2例、25ml pump 1例)、合併症ではないが相対的pump容量不足によるsize up(10ml→15ml、25ml→30ml)2例、前記の送血管損傷による緊急pump交換2例。送脱血管挿入部の感染による外科的な処置(デブリードメントなど)が必要となった症例や、pump内血栓による塞栓症例は認めず。また、全例で4時間おきのpump観察時に異常の端緒を発見していた。【考察】送脱血管損傷症例は2回とも同一症例で1回目の損傷後、送脱血管が屈曲しないような工夫をしたが再発。2回目の損傷後屈曲防止策を強化。また枕現象を伴うメンブレン損傷や異常例は、メンブレンのポリウレタン分子量の不均一が疑われている。現在では国内のpumpはすべて対策済みである。【結語】すべて4時間毎のpump観察時に異常を発見しており、さらに些細な異常でも小児VAD関連職種合同カンファにて小児VADチーム内で情報を共有している。この事がDevice関連合併症の早期発見と後遺症を残さない対処が可能であったと考えている。