[OR21-1] 小児心原性ショックに対して、積極的な左室unloadingを行った治療経験
キーワード:左室unloading, 補助循環, 重症心不全
背景 小児重症心不全加療において、積極的な左室前負荷の軽減(左室unloading)が、心機能回復を促す可能性がある。目的 心原性ショックに対して左室unloadingを併用した補助循環治療を行った5症例の臨床経過を比較。対象 ショック状態に陥った小児重症心不全例に対し、ECMOを導入し、VADを含めた積極的な左室unloadingを併用した5例(平均月齢23.2ヶ月:日齢11-11歳10ヶ月 平均体重12.3kg:3.3kg-35.0kg)を対象とした。結果 疾患はDCM1例、慢性心筋炎1例、心筋炎3例(SRV1例、LVNC合併1例、新生児例1例)。効果的な左室unloadingが出来なかった3例(DCM・慢性心筋炎・心筋炎(LVNC合併例))にEXCOR(2例)、Nipro VAD(LVNC合併例)を装着。残りの心筋炎2例は直接左室へventカニューレを挿入し、効果的な左室(体心室)unloadingが可能だった。この2症例は左室unloading開始後数日で著明に心機能が回復した。1例(SRV+心筋炎)はECMO離脱が可能だったが、1例(新生児例)は心停止時に発症した広範囲腸管壊死で失った。また、VAD装着となったDCM症例とNipro VAD装着例は3~4ヶ月の補助にて離脱可能だった。慢性心筋炎例はEXCOR補助でも心機能回復は認めず心移植待機中である。考察 5症例中、4例は心機能が回復した。ECMO離脱例のSRV例では、当初は体心室機能の改善は思わしくなかったが、左室ventへ変更後、ECMO離脱が可能となった。またDCM症例は当初peripheral ECMOで、左室ベントは挿入されておらず、EXCOR装着による強力な左室unloadingが左室機能改善につながったと考えた。死亡症例である心筋炎(新生児例)例では、左室機能はECMO(+左室unloading)開始後2日目から著明に改善しており、心停止時に発症した広範囲腸管壊死が無ければ救命できた可能性がある。心原性ショック治療時にはECMOのカニュレーション法等を工夫し、左室をunloadingする事に重点をおく事で、救命率を向上させる事ができる可能性を示唆する結果となった。