[OR22-4] Fontan術後患者への運動耐容能検査としての近赤外分光法(NIRS)の有用性
Keywords:近赤外分光法, Fontan術後, 運動耐容能
【背景】近赤外分光法(NIRS)は,測定対象に皮膚から近赤外線を照射し,吸光度の変化により酸素化ヘモグロビン(OXYHb)の割合を検出する手法である.成人循環器の領域では心不全の患者の運動耐容能を調べる目的での研究が進んでいる.我々は今回,Fontan術後遠隔期の運動機能を調べる目的でNIRSを施行した.
【方法】Fontan手術後の男女5例について,1.安静座位1分2.安静時大腿部阻血20秒 3.解放 4.安静座位2分 5.膝伸展運動10回 6.運動後大腿部阻血20秒 7.解放 というプロトコルで負荷を行い,左外側広筋のOXYHbを測定した.阻血はATS4000を用いて250mmHgで実施した.NIRSの解析は安静時10秒、安静時大腿部阻血10秒、運動後大腿部阻血10秒のデータを採択し,安静時OXYHb平均値を100%とし、阻血中の減少率(%/sec)を算出し、筋の酸素摂取率と定義した.また,同時に心肺運動負荷試験(CPX)を行い,両者を検討した.
【結果】10歳から22歳の5例で,うち男性が3名.NIRSの結果は,安静時減少率 0.16-0.45%と安静時の筋代謝は健常人と大きな差が無いのに対し,運動時減少率は0.55-0.90%(健常人:3-6%)と著明な低下を認めた.心肺運動負荷試験での酸素消費量は健常人の41-83%とばらつきがあったが,運動耐容能の低下を認めた.
【考察】NIRSの結果とCPXの結果には相関を認めず,NIRSとCPXは別の運動指標であると考えられた.運動時の筋代謝はFontan循環で特有に認められる変化の可能性がある.フォンタン術後の遠隔期の運動耐容能の指標として,NIRSの活用が期待される.フォンタン術後の患者にNIRSを施行した報告は無く,今後データの蓄積によりFontan患者の骨格筋代謝生理の解明に役立つ可能性があると思われた.
【方法】Fontan手術後の男女5例について,1.安静座位1分2.安静時大腿部阻血20秒 3.解放 4.安静座位2分 5.膝伸展運動10回 6.運動後大腿部阻血20秒 7.解放 というプロトコルで負荷を行い,左外側広筋のOXYHbを測定した.阻血はATS4000を用いて250mmHgで実施した.NIRSの解析は安静時10秒、安静時大腿部阻血10秒、運動後大腿部阻血10秒のデータを採択し,安静時OXYHb平均値を100%とし、阻血中の減少率(%/sec)を算出し、筋の酸素摂取率と定義した.また,同時に心肺運動負荷試験(CPX)を行い,両者を検討した.
【結果】10歳から22歳の5例で,うち男性が3名.NIRSの結果は,安静時減少率 0.16-0.45%と安静時の筋代謝は健常人と大きな差が無いのに対し,運動時減少率は0.55-0.90%(健常人:3-6%)と著明な低下を認めた.心肺運動負荷試験での酸素消費量は健常人の41-83%とばらつきがあったが,運動耐容能の低下を認めた.
【考察】NIRSの結果とCPXの結果には相関を認めず,NIRSとCPXは別の運動指標であると考えられた.運動時の筋代謝はFontan循環で特有に認められる変化の可能性がある.フォンタン術後の遠隔期の運動耐容能の指標として,NIRSの活用が期待される.フォンタン術後の患者にNIRSを施行した報告は無く,今後データの蓄積によりFontan患者の骨格筋代謝生理の解明に役立つ可能性があると思われた.